1996 Fiscal Year Annual Research Report
学区の行政的団体化と公共性に基づくドイツ(プロイセン)学区制度成立史の実証的研究
Project/Area Number |
07610245
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
増井 三夫 上越教育大学, 学校教育学部, 教授 (30099387)
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Keywords | 国家監督教会体制 / 総務・公教育・医務省 / 州宗務局 / ラントタ-ク |
Research Abstract |
1.本年度の研究計画 (1)19世紀前半期に於ける中央及び地方の教会・学校行政機構を明らかにする. (2)地方議会に於ける教会・教育関係審議及び議決より,中央教会・学校行政が地方のそれに関与する具体的な仕組みを明らかにする. 2.研究計画の達成と成果 (1)について プロイセン改革の一環として中央-地方教会・学校行政機構は1808-1846年にかけて、5回にわたる改革を経た.従来,この改革は,「プロイセンはここに初めて近代的な教育行政官庁」と「上下関係のある専門的教育行政機構」が「完成」された,と評価されてきた.しかし,研究成果の現状は未だその評価に対応した機構の全体像を提供するに至っていない.今年度は,研究史の現状を考慮して,中央-州-県レベルの教会・学校行政機構を種として関連立法により整理した.その結果は以下のとおりである.法制上から判断すると,この機構は国民の文化に対する行政的整序化と教育警察を意図していた. (2)について 近代議会の萌芽とみられる東プロイセンのラントタ-クでは自由主義的貴族及び年教養市民層がイニシアチブを掌握していた.この議会における教会・教育関係審議及び議決を調査していくと,学区レベルのローカルな教育事項が具体的に論議されており,(1)でみられた中央行政機構の存在位置は大きく修正されねばならない.すなわち,州議会レベルでの教育関係審議・議決に議会の自律性が非常に明確に機能していた.従来は,中央行政機構が州以下の機関に対して官僚的な指導・監督を貫徹していたと理解されてきた.これは定説を修正するものである.
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