1997 Fiscal Year Annual Research Report
学区の行政的団体化と公共性に基づくドイツ(プロイセン)学区制度成立史の実証的研究
Project/Area Number |
07610245
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Research Institution | JOETS UNIVERSITY OF EDUCATION |
Principal Investigator |
増井 三夫 上越教育大学, 学校教育学部, 教授 (30099387)
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Keywords | プロイセン州議会 / 学区の行政団体 コム-ネ / 学区のゲマインデ主義 / 救貧団体 / 教育・救貧事項の公共性 |
Research Abstract |
1.本年度の研究計画 本年度は最終年度にあたり,次の計画を設定した.第1に成果の一部を本学研究紀要に投稿すること,第2に学会等で発表することである.第3に学区の行政的団体化と公共性の機能を分析する. 2.研究計画の達成と成果 第1の計画については,「近代ドイツの教会・学校行政機構図(III)」が平成9年9月に本学研究紀要第17巻第1号に掲載された.第2の計画については,平成9年10月12日に教育史学会で「三月前期の教育改革論議におけるラント議会の位置-1845年プロイセン州議会審議-」のテーマで,この続編を同年10月21日にドイツ教育研究会主催全国セミナーで「学区に編成される農村社会-三月前期プロイセン州議会審議-」のテーマでそれぞ発表した.さらに同年11月22日に立命館大学国際言語文化研究所主催「19世紀末から20世紀初等における国際秩序の形成と国民文化の変容」に「近代ドイツの教育」のテーマで本研究の成果を公表した.いずれの発表も従来の通説を修正する知見を提起し,論議を呼んだ.第3の計画の成果については,第2であげた学会および研究会等で発表された.プロイセン州の特に激しく流動化している農村地帯におけるゲマインデは行政団体化に先行してまず学区を最小単位として区画される.そしてそれが次第に農場区も含めて行政団体=学区へと展開していく.この史実と対応して,州はその自治にもとづいて学区に国家に対してその行政的支配を規制しゲマインデの学校要求を自律的に組織していくゲマインデ主義を法制化する.この一連の過程に関する発表は大きな反響を呼んだ.そのゲマインデ主義に公共性を機能づけたものが救貧事業であったことも新たな知見であった.
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