1996 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツ新教育運動における教育方法論の基礎的研究-自由ヴァルドルフ学校とメルツ学校の比較検討を通して-
Project/Area Number |
07610266
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
吉田 武男 高知大学, 教育学部, 助教授 (40247945)
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Keywords | 新教育運動 / 自由ヴァルドルフ学校 / シュタイナ- / メルツ学校 |
Research Abstract |
平成8年度は、平成7年度に中心的に行った自由ヴァルドルフ学校の研究の継続として、メルツ学校を中心に研究を進め、その上で両校の比較検討を行った。 自由ヴァルドルフ学校の本格的な研究は、まだ不十分な状況である。しかし、メルツ学校はその比ではない。メルツ学校は、我が国では、本格的な研究はもちろんのこと、ほとんど紹介・解説すらされていないのが現状である。したがって、まずメルツ学校の創立経緯とその教育理念について調べた。次に、その学校のカリキュラムと教授法の特徴について考察した。その結果、この学校の教育方法上の大きな特徴として、「認識」と「造形」という概念に注目して、「認識と造形」という授業を特設し、その授業内容を他のすべての授業に活用・関連づけていることが解明された。 さらに、そうしたメルツ学校の特徴を踏まえ、自由ヴァルドルフ学校のそれと比較検討した。 両校の教育方法の共通点は、「子どもから」という新教育運動のスローガンに通じる人間の全体性を尊重する視点から、知育とともに、芸術教育運動と労作学校運動と合科教授という三つの改革教育運動の実践を、つまり「芸術」と「労作(作業)」と「合科」とを、適切に統合したものになっているところである。また、両校の特徴的な相違点をあげるなら、それは、両校の創始者(創設者)の教育理念や思想信条の関係で、芸術的なものと作業的なものとがともに教育方法の上で大切にされながらも、自由ヴァルドルフ学校では「芸術」(Kunst)が、メルツ学校では「作業」(Werk)がより重視されているところである。 詳細については、研究成果報告書において論述した。
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