1995 Fiscal Year Annual Research Report
ジュニア競技者バーンアウト傾向ほ発達的特徴と関連要因について
Project/Area Number |
07610282
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Gifu Keizai University |
Principal Investigator |
岸 順治 岐阜経済大学, 経営画学部, 講師
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Keywords | バーンアウト / 運動選手 / ジュニア競技者 / 発達段階 |
Research Abstract |
本研究は,小学校高学年から中学生の児童期から前青年期にある運動選手(ジュニア競技者)を対象として,彼らの競技場面での心理的消耗感をバーンアウト傾向と捉え,その関連要因と発達的特徴を検討することを目的とした.その結果は次のようにまとめられる.リジュニア競技者の競技場面での心理的消耗は少なからず存在し,競技レベルの高い集団,所属人数の多い集団,管理体制の強い集団により強い消耗感を持つ選手が認められる.しかしながら,競技継続への「やる気」の減退が,この消耗感に反映されている可能性があり,即選手のバーンアウト傾向と捉えるには問題が残る.2)バーンアウト傾向の原因は,単一の要因よりも複合的な要因が関わると推測されるが,その中でも友人関係,指導者との関係や親・兄弟からの期待が強く関連しており,自己の価値観などよりも対人関係を中心として競技者が設定されているものと考えられる.3)この年代の運動クラブからの脱退理由は,競技場面での心理的消耗感によるものは比較的少なく,その多くは受験勉強や塾,他の領域への興味拡大のよるものであることが推測される.4)従来の青年期の運動選手のバーンアウト研究で認められてきた競技への固執傾向は,この年齢段階においては,彼らの心理的消耗感に顕著な役割を演じているとはいえない.このことは自我同一性の探求という発達課題が以後の青年期の特徴であることによると考えられるが,この時期の準備段階としての役割を明確にする必要がある.5)こうした幼年期における競技スポーツの役割は,後の青年期のおけるスポーツ経験とは質的に異なることが予測され,バーンアウトを含めた選手への指導上の意味合いについて,事例の検討を中心とした今後の詳細な研究が必要である.特に,児童期の移行対象としてのスポーツ活動という対象関係論からの視点が有益であると示唆される.
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