1995 Fiscal Year Annual Research Report
ラテンアメリカの女性を対象とした教育政策のフェミニズム的視点からの分析
Project/Area Number |
07610284
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
松久 玲子 同志社大学, 言語文化教育研究センター, 助教授 (40239075)
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Keywords | ラテンアメリカ / 女性教育 / ニカラグア / フェミニズム |
Research Abstract |
ラテンアメリカの女性を対象とした教育政策の分析に先立ち、ラテンアメリカの女性教育研究の動向をまとめ、データベース作成のための資料収集と整理を行った。1975年のメキシコ国際女性年世界会議以降、各国政府により女性の教育状況に関して研究が進んだ。しかし、これらの報告は、統計的な把握が中心であり、教育プロセスにおけるジェンダー研究は発展しているとは言えない。一方、ラテンアメリカでは、第三世界における開発の問題と不可分に女性教育政策が展開されている。その結果、女性の開発への参加、女性の労働市場への参加、職業教育が女性教育研究の中心的テーマとなっている。女性教育研究の動向は、女性解放や女性の地位向上を目的とした政策に向けての経済、社会学的研究が中心で、歴史研究は十分発展していない。近年、女性教育史研究は植民地時代を中心に質の高い研究が見られるがその数はまだ少なく、地域的にも偏りが見られる。 各国別の事例研究としてニカラグアとメキシコを取り上げた。ニカラグアでは、女性の雇用機会の促進のために、特に非伝統的な女性の職種への女性の就労を援助するプログラムが形成される一方、学校教育においては公民教育で、伝統的な家族の価値観の再生をめざす教科書が導入された。教育省内においても、女性にたいする教育政策の理念は必ずしも一致したものではない。 メキシコにおいては、公民教育において女性は社会におけるマイノリティーとして位置づけられ、その権利の回復が中心的課題となっているが、一方で女性の社会進出を阻む諸問題の解決に関しては政府機関よりもNGOの活動に負うところが多い。
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Research Products
(1 results)