1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07610293
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Nayoro City University |
Principal Investigator |
清野 茂 市立名寄短期大学, 教授 (50128865)
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Keywords | 手話・口話論争 / 川本宇之介 / 大阪市立聾唖学校 / ORAシステム / 純口話法 |
Research Abstract |
戦前の聾唖教育の資料、特に学校や研究団体、運動団体発行の機関誌等は散逸し、まとまった形での所蔵は十分ではなく、戦災で失われたものも多い。著者は昭和初期の聾唖教育、特に当時の手話、口話をめぐる論争の解明に不可欠であるこれらの機関誌類(『口話式聾教育』、『ろう口話教育』、『聾唖教育』、『聾唖界』、『殿坂の友』、大阪市立聾唖学校校友會誌等)を筑波大学付属聾学校、大阪市立聾学校等で調査、関係論文、記事の複写を行なった。 本研究では純口話法普及運動の中心にいた川本宇之介と、手話を擁護し、併用法を実施していた大阪市立聾唖学校の主張を文献的に明らかにすることが必要となるが、上記雑誌に掲載されている関係論文とともに、川本については亡くなる間際にまとめた「盲・聾教育八十周年史(草案)」の内容が重要と思われる。この謄写版印刷の報告は活字印刷されなかったため、ごくわずかな部数個人的に所蔵されているのみであるが、所在を確認、閲覧、複写した。また、大阪校については、校友會誌の他に、昭和7〜8年にORAパンフレット1〜14輯を発刊しており、これも同校の主張を見る上で重要と思われるが、長らく所在不明で、閲覧不能であった。今年度、一部ではあったが(3,5,7,10輯)、発見、閲覧、複写できた。また、大阪市立聾唖学校の教育の状況を示す大正末から昭和初期にかけて撮影された多数の写真類を、元教師の未整理の寄贈品の中に見出し、複写した。 この他、大阪校とともに、純口話法を受け入れなかった数少ない学校の一つである浜松盲唖学校関係の資料についてもわずかながら入手できた。 なお、これらの一部は、日本特殊教育学会第34回大会の研究発表「昭和初期聾唖教育と手話・口話論争」の報告に活用する。
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