1996 Fiscal Year Annual Research Report
南インド・タミルナ-ドゥ州の寺院管理法の文化的・政治的背景と訴訟記録の分析
Project/Area Number |
07610311
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
田中 雅一 京都大学, 人文科学研究所, 助教授 (00188335)
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Keywords | 南インド / ヒンドゥー教 / ヒンドゥー寺院 / 植民地支配 / 世俗国家 / 宗教法 / タミルナ-ドゥ |
Research Abstract |
本研究は南インド・タミルナ-ドゥ州における寺院管理法の文化的・政治的背景とそれをめぐる訴訟記録を分析することを目的とした。初年度は独立以前の訴訟記録をデータベース化し、その時代的な傾向や争点、原告あるいは被告の特徴(司祭か管理人か、いかなるカーストか)などについて統計的な分析を行った。同時により一般的な文脈でヒンドゥー・ナショナリズムの形成過程についての分析を行った。2年目は寺院が法秩序の整備に伴っていかなる反応を示したのかを人類学的な調査を行ってきた寺院を例によって個別に論じた。またデータベースの完成につとめた。さらに植民地状況と密接に関わって発展したインドの人類学を考えるためにいわゆる歴史研究とは別の歴史人類学の可能性を考察した。 全体として言えることは寺院管理法の制定とその発展を通じて地域が英国流の法的言説の世界に組み込まれることになったということである。訴訟記録を見ていくと寺院管理をめぐる対立がさまざまなかたちをとっていることがわかった。それは司祭対地元の有力者、司祭以外の寺院で働く人々(花屋などのカースト)と管理者との対立、管理権を争う有力者間の対立、そして管理権を主張する政府と地元有力者との争いなどである。もうひとつ重要と思われるのは、管理法の制定に反応する形で、寺院の側から寺院運営や組織、祭りなどについての慣習を規律として文章化する動きがあったことである。これも寺院を中心とするコミュニティが法治国家の言説に取り込まれていく過程を示す現象と考えられる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 田中雅一: "南アジアにおける宗教ナショナリズム--スリランカとインド" 民族・宗教・国家--現代アジアの社会変動(慶應義塾大学地域研究センター編・慶應通信). 67-103 (1995)
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[Publications] 田中雅一: "ヒンドゥー教の再生--アヨ-ディヤ問題の理解に向けて" アジアにおける宗教の再生--宗教的経験のポリティクス(田辺繁治編・京都大学学術出版会). 358-385 (1995)
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[Publications] 田中雅一: "南インド・ヒンドゥー寺院をめぐる起訴(一八八一-一九二九)" 宗教研究. 307. 37-40 (1996)
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[Publications] 田中雅一: "二つのカースト・モデルと現世放棄--南インドのセングンダ・ムダリヤ-ルをめぐって" ステイタスと職業--社会はどのように編成されていたか(前川和也編・ミネルヴァ書房). 181-215 (1997)
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[Publications] 田中雅一: "カースト社会に生きる" 講座・差別の社会学--第三巻・現代世界の差別構造(栗原彬編・弘文堂). 329-345 (1997)
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[Publications] Tanaka,Masakazu: "Patrons,Devotees and Goddesses : Ritual and Power among the Tamil Fishermen of Sri Lanka" New Delhi : Manohar, 228 (1997)