1996 Fiscal Year Annual Research Report
九州山地五木谷における地頭家の由来伝承と社会的性格に関する民俗学的再検討
Project/Area Number |
07610315
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Research Institution | YAMAGUCHI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
湯川 洋司 山口大学, 人文学部, 教授 (10166853)
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Keywords | 五木谷 / 地頭家 / 焼畑村落 / ダンナ・ナゴ関係 |
Research Abstract |
1、ダンナ家に関する現地調査を次の通り実施した。 第1次調査:7月29〜8月2日。土会平・土肥家ほか旧ダンナ家4軒を訪問調査。 第2次調査:8月5〜9日。逆瀬川・土屋家ほか旧ダンナ家4軒を訪問調査。 第3次調査:9月14〜17日。平瀬・黒木家ほか旧ダンナ家4軒を訪問調査。 第4次調査:11月8〜11日。平野・黒木家ほか旧ダンナ家4軒を訪問調査。 調査内容は、各ダンナ家の由来伝承をはじめ、位牌、過去帳、系図、所有文書、伝世品、墓、屋敷神、堂、等。 2、旧ダンナ佐藤家(板木集落)当主記述の農業日誌、所有地図等に関する調査及び分析 (1)調査実施:6月14〜16日。 (2)分析:農業日誌1年分を仕事別、月別に集計し、焼畑経営における労働配分と林野利用のあり方を析出。 3、まとめ 昨年度調査において、ダンナ家が村落の支配者としてだけでなく一般農家に対してさまざまな形で支援をしていた側面が浮き上がりつつあったが、本年度調査によりそうした推定が強まった。ダンナ家を中心にして1つの集落単位にまとまり、生計維持に腐心した姿をかつての焼畑村落における暮らしの原像として描くことができると思われる。なお、ダンナ家と人吉の相良藩との関係など、林野の所有・管理を含めた政治支配との関連を追究する作業が今後の課題として指摘できる。
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