1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07610321
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
大塚 和義 国立民族学博物館, 第1研究部, 教授 (50110078)
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Keywords | アイヌ / 観光 / 北海道 |
Research Abstract |
本年度は、北海道の白老、旭川、阿寒、釧路、日高・二風谷などにおけるアイヌ観光地の調査を中心に行った。具体的には、アイヌ観光商品の変遷とその製作技術を記録し、アイヌ観光に従事する人たちから経験や意見の聞き取りを行ったのである。調査の結果、観光地での出稼ぎの体験が、居住地域において継承される伝統的文化や技術(たとえば彫刻、機織り、刺繍、舞踊、儀礼など)の持続や展開に、重要な役割を果していることが裏づけられた。しかも、アイヌの伝統技術の変容は、観光化現象のなかで引き起こされることが大きいことを明らかにできた。また、近年重要性を増しているのは、観光地の現場における博物館施設の役割の大きさである。つまり観客は、たんなる表面的な観光だけでは満足せず、より高度で多様な情報を求めており、観光地はそうした要求に応えるべく博物館施設を設置する状況が出現している。アイヌ観光においても同様の状況があり、博物館活動のなかに伝統的文化や技術を生かす方向が模索されているという、技術の継承と観光地とのあらたな関係を、今回の調査で明らかにできた。さらに、都市に居住するアイヌの人たちは、アイヌ文化の技術者研修などをとおして彫刻や刺繍などの技術を習得し、観光商品の製作に関与していることが判明した。 上記のように、本年度は観光地における調査を重点的に行ったが、以下の3点に関しては十分な結果を得られておらず、次年度に補足調査するつもりである。すなわち、(1)観光地において出稼ぎを体験し、そこで技術を習得したアイヌが自分の居住地にもどった後に、その地域のアイヌ文化にどのような影響を与えているのか。(2)観光客が投げかける民族的な差別をアイヌがどのように受け止めているのか。(3)さらに、この差別を認識したときに強化されるであろう民族的なアイデンティティなどについてである。
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[Publications] 大塚和義: "観光地としての「オタスの杜」" Arietic Circle. 18. 4-7 (1996)
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[Publications] 大塚和義: "アイヌ海浜と水辺の民" 新宿書房, 249 (1995)
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[Publications] 大塚和義: "アイヌ民族と文化の現在" 学習研究社, 16 (1995)