農地改革の実施過程における地主と耕作農民の動向

1996 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 07610325
• Research Category: Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
• Research Institution: Ibaraki University
• Principal Investigator: 佐々木 寛司 茨城大学, 人文学部, 教授 (80225888)
• Keywords: 農地改革 / 地主制 / 小作慣行

Research Abstract

茨城・埼玉・大阪3府県の農地改革ならびに地主制に関する史料調査とその蒐集に努めると同時に、茨城県鉾田地域および総和地域の実証分析を進めた。この実証研究の主要テーマは、個別地域における地主制の実態を解明することである。鉾田地域では、隣接する数か村にみられる地主制展開の度合い(小作地率を基準とする)が相当に異なることを明らかにし(明治末の段階で、小作地率が32%の村から83%の村までが存在し、その格差の大きいことが確認できた)、県や郡の平均小作地率からは読みとれない地域独自の構造を検出した。また、総和地域では旧香取村を取り上げ、同村における戦前の農業構造と地主制の動向(小作地率・土地所有規模・経営規模等々)を検討し、5〜10町歩規模の土地を所有する地主と、1〜5町歩規模の土地を所有する自作地主の存在が明らかとなり、同村が典型的な中小地主地区であることを検証した。
今後は、上記の成果を受け継ぎつつ、地主制の解体を目指した農地改革が、それぞれの地域における地主制の展開度に対応しつつ、いかなる方法で進められていったかを検討したい。具体的には、農地改革の実施体制の組織化とその運営、そこにおける農民各層と地主層の動きを取り上げ、それが農地委員会や農民組合の動向にどのような影響をおよぼしたのかについての分析を行いたい。また、先の3府県に関する史料蒐集も、同時に進めて行く予定である。

Research Products

• [Publications] 佐々木寛司: "鉾田町地主制史小論" 鉾田町史研究 七瀬. 6号. 115-123 (1996)
• [Publications] 佐々木寛司: "近代総和地主の農業と地主制" そうわ町史研究. 3号(近刊). 70
• [Publications] 佐々木寛司: "歴史学と現在" 文献出版, 238 (1995)
• [Publications] 佐々木寛司: "近代日本経済の歩み" 吉川弘文館, 279 (1995)