1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07610329
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
三鬼 清一郎 名古屋大学, 文学部, 教授 (30022346)
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Keywords | 豊臣秀吉 / 豊臣秀次 / 関白 / 朱印状 / 判物 |
Research Abstract |
三年次計画の最終年度にあたるので、東京大学史料編纂所をはじめとする史料所蔵機関への調査を継続するとともに、これまでに収集した文書の統計的処理を行った。本年度には新たに九州・大阪・長野方面を調査した。いまだ十分に調査ができたと言える状況ではないが、今後は共同研究の成果に基づいて、『豊臣秀吉文書』の編纂にむけての作業に入っていきたいと思う。いま「織豊期研究会」(名古屋)のメンバーで文書の検討を行っている。 これまでに確認できたところでは、秀吉の発給文書の総数は約6000点、秀吉一族の発給文書は約800点で、そのうちの過半は秀次のものである。発給文書を年次別に検討した結果、天正10年代から朱印状の出現にともなって飛躍的に増加することや、御内書様式など多彩な様式を生み出していることが確認できた。関白秀次の発給文書で、宛所の人名の下に黒印が押捺されたものがあるが、これは文書が回覧されたことを証拠だてるもので、文書の機能を考えるうえで興味深い。また、添状を書いている武将を系統的に分析し、それぞれの時点における豊臣政権の権力構造の特徴をとらえることができた。奉行人を個別に検討することによって、それぞれが果した役割をとらえることができ、昨今問題となっている「五大老・五奉行」制について解決の見通しをつけることができた。無年号文書の多くは節季の贈答関係のものであるが、そこから当時における社会慣習の一端をうかがうことができよう。今後の研究のための素材となると思われる。
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Research Products
(1 results)