1995 Fiscal Year Annual Research Report
平安時代における都市・主権と文化・祭礼の総合的研究
Project/Area Number |
07610331
|
Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西山 良平 京都大学, 総合人間学部, 助教授 (30135503)
|
Keywords | 平安京 / 御霊信仰 / 都市 / タタリ / 怨霊 / 神 / 王権 / 絵巻物 |
Research Abstract |
平安京の祭礼・社会生活を、御霊信仰など<都市>信仰を素材としつつ検討した。このうち、全体的な展望をすでに発表し、タタリを「怨霊」と「守護霊」の両側面から把握しようとした。また、御霊信仰の<都市>への定着を11世紀前半以降と見做した(「御霊信仰論」、岩波講座『日本通史』5、1995年)。この見方は、日本史・宗教史・日本文学の各分野で逸早く反響を呼びつつある。 そこで、タタリの始源を考察するため、時代を遡行し、『古事記』『日本書紀』を分析した。『記紀』では、<神>のタタリが天皇(王権)を「不予」とする(「<聖体不予>とタタリ」、門脇禎二編『日本古代国家の展開』上巻、1995年)。この事態が展開し、怨霊が天皇を不予とさせる。都市の社会構造については、平安京を古代から中世への移行過程に位置づけ、11世紀前半〜12世紀後半を過渡期とした(「平安京とはどういう都市か」、『京都千二百年の素顔』、校倉書房)。 しかし、その反面、『記紀』に傾倒した傾向があり、9〜11世紀の検討が不十分であった。そこで、今後は8世紀後半以降のタタリを、神・怨霊・先霊(祖先の霊魂つまり守護霊)の諸側面から、綿密に追究する予定である。そこから、御霊信仰を再検討したい。ついで、11世紀〜12世紀の<都市>祭礼化の過程も検討する必要がある。このためには、『年中行事絵巻』など絵巻物が有効であり、都市祭礼・都市生活の画像の解析を進行させつつある。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] 西山良平: "<聖体不予>とタタリ" 日本古代国家の展開. 上. 231-252 (1995)
-
[Publications] 西山良平: "平安京とはどういう都市か" 京都千二百年の素顔. 148-179 (1995)
-
[Publications] 西山良平: "山城国葛野郡班田図" 日本古代荘苑園図. 197-212 (1996)