1997 Fiscal Year Annual Research Report
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07610351
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Research Institution | Kurashiki Sakuyo University |
Principal Investigator |
小笠原 幹夫 くらしき作陽大学, 音楽学部, 助教授 (10231218)
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Keywords | 蛮社の獄 / 藤田茂吉 / 自由民権運動 / 渡辺崋山 / 高野長英 / 渋沢栄一 / パリ万国博覧会 / 株式会社 |
Research Abstract |
平成9年度は「河竹黙阿弥『夢物語蘆生容画』(日本演劇学会)という口頭発表,また単行本『渋沢栄一-近代産業社会の礎を築いた実業家-』を刊行した。 〈日本演劇学会での発表〉蛮社の獄は,幕府官僚内部の対立に派生した政治疑獄であっただけに,他の稗史野乗のように世上に流布したものではなかった。この事件に言及した文献として最も古いものは,藤田茂吉の『文明東漸史』である。この書の刊行された明治17年は,自由民権運動が最高潮に達した時期にあたる。藤田茂吉は,福沢諭吉門下のジャーナリストで,立憲改進党系の論客であった。そこに描かれた渡辺崋山,高野長英の履歴は,ところどころ伝奇的分子がまじっている。 〈渋沢栄一〉渋沢の指導理念のうち,もっとも重要なものの一つは「合本主義」である。幕末,パリ万国博覧会に派遣された渋沢は,パリに数多くの銀行や会社があって,大勢の金を集めて大規模な営利事業を営んでいるのを見た。そして,その利益が人々を富ませ,ひいては国家を豊かにしていることに気が付いていた。これが,のちに「合本法」と称して着手した「株式会社」の手本となったのである。
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[Publications] 小笠原 幹夫: "幕府は蘭学者を弾圧したか-「蛮社の獄」という物語-" ほうとく(二宮報徳会). 3. 25-29 (1998)
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[Publications] 小笠原 幹夫: "坂崎紫欄における明治維新-『汗血千里駒』をめぐって-" 文芸と批評. 8-7. (1998)
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[Publications] 小笠原 幹夫: "幕末の洋学と明六社啓蒙思想" くらしき作陽大学・作陽短期大学研究紀要. 31-1. (1998)
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[Publications] 小笠原 幹夫: "渋沢栄一-近代産業社会の礎を築いた実業家-" 明治図書, 166 (1997)