1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07610355
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Suzugamine Women's College |
Principal Investigator |
兒玉 正昭 鈴峯女子短期大学, 教養科, 教授 (40186705)
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Keywords | 移民県 / 熊本県移民 / 福岡県移民 / アメリカ1924年移民法 |
Research Abstract |
今年度は、移民研究の蓄積の乏しい熊本・福岡両県について、基礎的な調査研究を主要な目的とし三つの課題を設定した。 一つは、数年来実施している外交史料館所蔵資料の調査を継続的に行い、熊本・福岡両県の移民関係資料を収集することである。この課題については、明治期の移民資料の約8割を閲覧し、そのかなりの部分を収集することができたが、大正期はその5割を閲覧収集するにとどまった。 二つは、熊本県内にある移民関係資料を重点的に収集し検討することである。そのために、1回5日間の調査を3回実施し、熊本県立図書館所蔵資料(熊本県内発行の新聞類・熊本県公文類纂などの県政資料)を中心に大きな成果を挙げることができた。現在収集資料を整理分析中である。松方デフレ期の熊本県内の諸相・ハワイ官約移民の送出要因について具体的に実証できること、広島県の事例と比較して一定の共通性があることなどが明らかになった。平成8年度には、収集資料をもとに熊本県移民の送出要因を中心に論文をまとめる予定である。 三つは、福岡・熊本両県の収集資料をもとに実証的な研究論文を作成することである。この課題については、収集資料の制約で福岡県を中心に資料の整理分析を進めた。福岡県立図書館・九州大学・外交史料館などで収集した資料を素材に、「アメリカ1924年移民法の成立に対する移民県の動向-福岡県を中心に-」という小論を作成した。アメリカ1924年移民法の成立と国内の動向については多数の先学の諸業績がある。しかし、移民県に重点をおいた研究は殆どみられないだけに、一定の評価を得ることのできる成果だと思う。
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