1995 Fiscal Year Annual Research Report
明治・大正期における農業技術転換の社会経済史的研究-広島・秋田両県の比較-
Project/Area Number |
07610356
|
Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
|
Research Institution | Wakayama National College of Technology |
Principal Investigator |
勝部 眞人 和歌山工業高等専門学校, 一般教育科, 助教授 (10136012)
|
Keywords | 近代農業技術の革新 / 農事改良 / 地主制 / 広島県の稲作 / 秋田県の稲作 / 石川理紀之助 |
Research Abstract |
夏期秋田県において、県立公文書館・南秋田群昭和町伝習館・仙北郡千畑町郷土資料館・平鹿郡平鹿町立図書館旧醍醐村役場文書の調査をすることができた。県公文書館では明治末〜大正初中期の県庁文書に当たったが、このうち特に明治44年の稲熱病被害に関する簿冊を見つけ、県が乾田化を推進してきたにもかかわらず稲熱病被害が乾田に集中するという皮肉な結果を招いたことがそこから判明した。伝習館の石川理紀之助文書にもこの事件に関する史料を見出すことができ、生産者農民の間に深刻な動揺が走ったことも明らかになった。この点は本研究の重要課題に関わるもので、大きな成果を得たと考えられるが、昨年10月に広島史学研究会日本史部会で発表を行った。本年末までに原稿化に進める予定である。千畑町では旧千屋・畑屋村の耕地整理に関する史料を見つけたが、また旧醍醐村役場文書中の『農事改良成績』の個人別データについては分析・考察を行ったうえですでに原稿化を終えることができた。 夏末に広島市公文書館の調査も実施し、市に合併された旧町村役場史料のなかから村レベルの農事改良成績統計や共同苗代反対運動に関わる史料を見つけることができ、現在分析を進めている。 ただし秋田県では地主史料の発掘ができず、農事改良をめぐる地主・小作人の具体的な動きを明らかにするにはまだ至っていないし、仙北郡地域を見る限り旧町村役場史料もかなり散逸が進んでおり前途の困難が予想される。また広島県に関しても県北地域を含めてまだかなり調査の必要性を感じている。 なおコンピュータ購入を半年あまり遅らせたが、その間にパソコン市場の様相を一変してペンティアム搭載機をかなり廉価に購入することが可能となった。今後の研究を進めるうえで大いに役立つと考えられる。
|