1995 Fiscal Year Annual Research Report
後期旧石器時代後半のセトルメントパターンと遺跡構造に関する比較文化的研究
Project/Area Number |
07610400
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
阿子島 香 東北大学, 文学部, 助教授 (10142902)
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Keywords | 後期旧石器 / 石器の使用痕 / 遺跡構造 |
Research Abstract |
本研究は、東北大学考古学研究室において継続的に進めてきた旧石器時代研究の一環であり、中緯度地域における比較文化的研究の一部である。筆者等のチームが開発した金属顕微鏡を使用した高倍率の使用痕分析法を適用して、後期旧石器時代から縄文時代初頭にかけての遺跡の構造分析および石器群の機能の分析を続けている。今年度は仙台市野川遺跡の石器および、細石刃文化期である新潟県荒屋遺跡の石器の一部の分析に補助金を使用した。また宮城県北部では非常に多数の旧石器遺跡が明らかになっているが、本研究では広域的セトルメントパターンの観点から、それに比較して従来調査密度がうすい地域に着目した。本年度のフィールドワークは、遺跡群の踏査と基本的な地層堆積状況の調査を、草木繁茂に妨げられない冬季(11月末)に、宮城県南部の蔵王山の東南麓で実施した。これまでの踏査で縄文早期遺跡群を確認している.白石市深谷地区、同川原子地区、七ケ宿町長老地区で分布調査を行った。目的とする後期旧石器時代遺跡は未確認であったが、縄文早期中葉〜後葉の新遺跡・新地点3箇所を発見した。いずれも高原に立地の小規模遺跡である。この調査では基礎資料として、ローム層の堆積状況を確認できる地点を、約40箇所記録し、柱状図を作成した。また当研究室では、東北歴史資料館考古研究科と連携して今年度、旧石器の空白地域の遺跡分布調査(三陸沿岸、北上川流域)を進めたが、本研究と密接な関連があるので付記する。また広域的視点から、岩手県、青森県、ロシア極東等の当該期の山土遺物の資料調査を行った。
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