1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07610434
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Research Institution | Edogawa University |
Principal Investigator |
新井 正彦 江戸川大学, 社会学部, 講師 (10232026)
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Keywords | 街道 / 文化の交流 / 東西文化の交流点 / 街道・宿場の文化 / 風土 |
Research Abstract |
わが国における街道の整備は、古代律令制において東海道・東山道・山陽道等の七道が敷かれ、近世において五街道が整った。信濃はそれぞれの時代において東山道・中山道という主要幹線が走る重要な地であった。そのため多くの文人達がこの地を訪ね、文芸作品の舞台として信濃は登場する。信濃を貫く中山道を中心に街道の歴史的考察、信濃を歩いた文人墨客や信濃に生まれた文学者達の研究調査をし、実踏調査によって信濃の街道・宿場の歴史や文化を考察した。 道は古来、政治・経済との関わりだけでなく、文化の交流にも重要な役割を果してきている。信濃には中山道・甲州道中・北国街道等の本街道、脇往環が数多く縦横に走っていた。その中でも中山道は、江戸と京都を結ぶ大動脈であった。信濃はそのほぼ中間に位置し、東西文化の交流点ともいえる。民俗学者柳田國男が形容したごとく、信濃の街道は「天然の渡り廊下」であり、「雄大な文化が古来より一筋信濃を貫いていた」のである。文人の風流の旅、また、生活のため、諸国巡礼のため、様々な人が街道を往来し、信濃の街道・宿場は、諸国から集散する人々で活気をみせ賑わった。文人墨客は、その著書に街道・宿場の様相を記している。また、文人・知識人の旅は、地方文人との交遊を通して江戸・上方の文化をもたらし、街道・宿場の文化を形成していった。街道は文化・情報をも伝える重要性を担っていた。『夜明け前』に代表されるように、信濃の街道・宿場の文化と歴史は、その風土と文学の美的構造の中に投影され、作品に深く関わっているのである。
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