1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07610439
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Ibaraki Women's Junior College |
Principal Investigator |
武田 昌憲 茨城女子短期大学, 文学科, 助教授 (00221375)
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Keywords | 大友記 / 大友宗麟 / 九州治乱記 / 戦国軍記 / 大友興廃記 / 別所記 |
Research Abstract |
1.大友関係軍記のうち、『大友記』を重点的に調査、知られている伝本の全てを閲覧。その写本の簡単な書誌は「茨城女子短期大学紀要」23号)1996年3月発行)に掲載した。調査成果は以下の通り。 (1)別本ともいうべき『大友記』があり、大分県立図書館と内閣文庫の2本の存在が確認できた。漢文体で、大友家臣団の活躍が詳しく、大友家、特に宗麟父子に好意的であり、通称『大友記』の宗麟に批判的な記事内容とは異なる。この翻刻分(大分県立図書館)を、頭注をも含めて、前半は前掲「茨城女子短期大学紀要」23号に、後半は「古典遺産」47号(1996年、7月発行予定)に掲載しておいた。国書総目的にも別本の指摘はなく、今後の大友関係軍記に、研究上、参考になると思われる。 (2)現在いうところの「大友記」は、写本については全て「九州治乱記」の書名が表である。どうも、群書類従本発刊の時に「大友記」と書名を付し、それが今日定着した可能性がある。本書は「九州治乱記」が正しい名称である。しかし、別に同名異書の作品(大分県立図書館蔵、既に大正期に翻刻済)があり注意を要す。 (3)通称本の「大友記」に別所記(別所長治記)が本文であるかのように続けて載せている写本がある(加賀市立図書館・尊経閣文庫)が、これは彰考館の大友記(九州治乱記)が元々、別所記と合綴(但し現在は分冊)していたため、その書写過程上の混用によることが書誌上の調査から判明した。 2.「大友興廃記」は22巻あり、各地に、所蔵箇所も多く、調査が大変であった。まだ未調査のものもあるが、これまでのところ諸本の異同はほとんどなく、大友軍記の集大成として重んじられていたことが推測される。ただ、別本ともいうべき「増補大友興廃記」48巻があり、こちらの調査も引き続き行なう必要がある。
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Research Products
(2 results)