1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07610489
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
阿部 宏 東北大学, 言語文化部, 助教授 (10212549)
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Keywords | 比較級 / 比較 / 形容詞 |
Research Abstract |
比較構文についてフランス語などの文献を中心に考察した。当初の研究計画に沿って本年度は主として19世紀以降のフランス語、現代英語などの比較構文を分析した。フランス語についてはいずれもCD-ROMによって供給されているDiscotextel(フランス文学テキスト・データベース)、Le Monde(フランス語新聞)、Axis(フランス語百科事典)、Zyzomys(フランス語事典)などを中心に、英語についてはやはりCD-ROMで供給されているGreatLiterature(英語文学テキスト・データベース)などを中心に相当数の用例を収集し、データベース化した。 分析結果の一部は平成7年9月のパレルモ大学における第21回国際ロマンス語言語学・文献学会で発表し、学会の論文集が現在印刷中である。 新たな知見としては、pとqが反対語である形容詞、および同一スケールにおくことが不可能な種類の形容詞がplus p que q型のメタ言語的比較構文におかれる例が多数観察されたことである。これは単純な「量的比較」では説明不可能な現象であり、当初の仮説である「二者択一」説を裏づけるものであろう。ところでこの「二者択一」は、最近の文法化理論で提唱される「主観化」の結果として解釈可能である。つまり客観的な「量的比較」がより話者の判断に依存する「妥当度の比較」に意味を拡張し、その最も進展した段階が「二者択一」的様相を呈するのである。詳細は来年度以降に予定している通時的研究を持たねばならないが、plus p que q型構文の多義性は、こうした主観化の進展の結果と考えられよう。
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