1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07610505
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
原 克 立教大学, 文学部, 教授 (40156477)
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Keywords | 都市論 / ベルリン / 近代化・近代テクノロジー / 墓地 / 埋葬 / 公衆衛生 / 文化史 / バイオ権力 |
Research Abstract |
申請者は、ドイツ語圏における近代化のプロセスをテーマに研究を進めてきた。まずは〈固体〉をめぐる近代化として、文学現象にそくして近代的著者・近代的主体の形成過程を系譜学的に追った。更にそれと有機的な関連を保ちつつ、次の段階として〈マス・群衆〉をめぐる近代化のプロセスを研究対象とした。都市空間ベルリンに発動される「バイオ権力」の問題系列である。ベルリンは都市空間として、公衆衛生はバイオ権力の発動形態として、また埋葬形式は衛生問題の具体的かつ本質的事例として、上記の研究目的にもっとも適しているという申請時の仮定は、この間、当補助金により海外研究各施設より収集した資料等によって確実に実証されつつある。当初、計画した旧ベルリン市域内から厳選した四箇所の墓地(ベルリン市立中央墓地、傷痍軍人墓地、ユダヤ人墓地、聖ヘトヴィッヒ教区墓地)についての資料はおおむね収集を完了したが、わけても傷痍軍人墓地がナチス時代、建設相シュペ-ルのベルリン大改造計画の一画を形成する重要なイデオロギー的記念建造物とみなされていたことを証しする資料がカナダの公立文書館から入手できたのは望外の成果といえよう。さらにこの間のリサーチにより、ヨーロッパのみならず北米各地の研究諸機関のアルヒ-フとコンタクトが取れたのは、今後の研究にとってもきわめて有用である。とりわけ合衆国のユダヤ研究所のコレクションとの連絡は貴重である。ところで、公衆衛生という近代的管理の網の目がベルリンの墓地および埋葬形式を覆う際、ひとり墓地・埋葬のみならず、たとえば水道、照明、交通といった他の都市現象も同時に管理の対象とされていくことがますます明確になってきた。それについては本年度、先行して論文等により個別に論及しはじめたが、来年度はこうした各現象と本来のテーマである墓地および埋葬形式との関連を総体的にとらえてゆかねばならない。
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Research Products
(2 results)