日本現存朝鮮古刊本の調査とその語学的・書誌学的研究

1995 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 07610507
• Research Category: Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
• Research Institution: University of Toyama
• Principal Investigator: 藤本 幸夫 富山大学, 人文学部, 教授 (70093458)
• Keywords: 朝鮮本 / 中國本 / 和刻 / 木版 / 銅活字 / 木活字 / 刻工名

Research Abstract

今年度の研究の目的は、現在行っている朝鮮本の語学的・書誌学的研究『日本現存朝鮮本総目録』の作製に資することである。今年は特に大阪府立図書館本の調査を中心とし、その他に東京大学附属図書館・内閣文庫・駒澤大学・京都大学・京都府立総合資料館等で調査を行った。特に大阪府立図書館では700冊に及ぶ朝鮮本を着了した。これら調査済みの書は、幣科所有の諸資料を用いて語学・書誌的事項の確認を行い、『総目録』に入力しつつある。
従来朝鮮本の諸目録では、テリ者・テリ地・テリ年に注意が佛われず、未詳のままであった。これらは朝鮮文化史を考える上で、極めて重要な事柄である。ある書籍が朝鮮の歴史上、幾度刊行されたが、又誰が、何度で刊行したかは、文化のあり方や地方性を考えるのに必須の事柄である。従来は直観的に版式や本の古びによってテリ年を決めていた。しかしそれを客観的に決定し得る要素が存在する。それは版心部に刻された刻工名であって、15、17世紀のテリ本には、すべてではないが屡々見受けられる。テリ工名を廣く採取し、刻々の生存時期と生存地域を確定しておけば、それを基準として、刻工名のあるテリ本ならば、テリ刊地とテリ行時期を推定し得るのである。
筆者は、二十年飾刻工名を募集して来たが、今年の調査に於ても多くの刻工名を集め、基礎作業の基盤を固め得た。

Research Products

• [Publications] 藤本幸夫: "朝鮮『白氏文集』攻" 『白居易研究講座』6 勉誠社. 6. 180-201 (1995)
• [Publications] 藤本幸夫: "高麗大蔵経と契丹大蔵経について" 『中国佛教石経の基礎的研究』 京大出版曾. 153-194 (1996)
• [Publications] 藤本幸夫: "刻工名による朝鮮刊本の刊年・刊地決定法試論" 『青丘学術論集』 朝國学術振興財団. 8. 125-165 (1996)
• [Publications] 藤本幸夫: "和刻本『千字類合』について" 『季基文博士退官紀年論文集』ソウル(原文朝鮮文). 85-100 (1996)