1996 Fiscal Year Annual Research Report
発話表現意図に関わる文末形式・イントネーションの分析と指導法の開発
Project/Area Number |
07610514
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture & Technology |
Principal Investigator |
御園生 保子 東京農工大学, 留学生センター, 助教授 (00209777)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
益子 幸江 東京外国語大学, 外国語学部, 講師 (00212209)
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Keywords | 文末形式 / イントネーション |
Research Abstract |
イントネーションによって表現形式のあいまいさが解消される文末形式として、ダロ-/デショー、ジャナイ/ジャナイデスカを取り上げた。テレビ番組を1チャンネル17分ずつ1日7回録画し、その一週間分を資料とした。 上記の4形式に他の形式が付加せず、そこで言い切りになって文が終止している例が全体で200余例あった。デショーが約120例、ついでジャナイデスカ(36例)>ジャナイ(23例)>ダロ-(16例)である。対話では4形式すべてが用いられているが、ニュースなどの読み言葉ではジャナイ系は出現しないと言う文体による分布の偏りがあった。 共起関係などの語彙的・統語的基準、話者の交代の有無などの語用論的基準、意味的基準から用例を分類し、文末イントネーションの上昇・下降との関連を調べると、下降調はすべての場合に現れたが、上昇調の出現には用法によってばらつきがあった。例えばデショーは、「いつ・何」等の疑問を表す語と共起する疑問文、および「推量」の場合はすべて下降調だった。それに対して「確認要求」の例では上昇・下降のどちらも現れ、上昇調がやや優勢だった。下降調は文を終止する無標の音調、上昇調は有標という仮説で、上昇調を使うことのできる、あるいは、使うことのできない条件の分析を進めている。 ジャナイに見られる否定の助動詞と文末形式の音響的な違いは、当該部分のピッチパタンの違いばかりでなく、否定文のフォーカスの部分との関係も視野に入れて分析する必要がある。
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