1995 Fiscal Year Annual Research Report
朝鮮語に対する日本語の言語干渉に関する日・中・韓比較研究
Project/Area Number |
07610520
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Niigata Women's College |
Principal Investigator |
熊谷 明泰 県立新潟女子短期大学, 国際教養学科, 助教授 (60269545)
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Keywords | 朝鮮語 / バイリンガリズム / 借用語 / 語彙干渉 / 言語干渉 / 中国朝鮮族 / 言語醇化 / 言語純化主義 |
Research Abstract |
1.中国朝鮮族の朝鮮語における日本語からの音借語について、来日中の中国朝鮮族を対象にして聞き取り調査を実施した。その結果、韓国での朝鮮語との間には多くの音借語で重なり現象を示す一方、興味ある異なり現象をも示していることが明らかになった。平成8年度には中国延辺地区に赴き、言語調査を実施する計画である。この調査研究では、中国東北部、および韓国において、解放後半世紀の間に展開された民族語醇化運動の特徴と相違点を日本語からの語彙干渉の側面から解明することを目指している。 2.1991年に韓国で出版された2種類の朝鮮語大辞典(『ウリマル クンサジョン』、『韓国語大辞典』)を対象として、日本語からの借用語彙記述状況について調査を行った。その結果、日本語からの語彙干渉については、かなりぞんざいな記述に留まっていることが判明した。そして、こうした韓国における朝鮮語辞典編纂の現実は、日本語からの語彙干渉をもっぱら「言語汚染」の側面でした捉えようとしない韓国の言語醇化主義の限界性を露呈しており、このことが資料的に実証された。 3.現在入手しうる韓国の言語醇化資料の中から、日本語からの語彙干渉項目をすべて抽出して、資料集を作成する作業を進めている。この資料集によって、これまで韓国で日本語からの語彙干渉例として指摘されてきた最大限の語彙リストを提示できるであろう。 在日朝鮮人のバイリンガリズムに関する研究は端緒についたばかりである。在日朝鮮人の朝鮮語における日本語からの語彙干渉について、可能なかぎりデータを集め、分析を加えるべく、準備を進めている。
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