1996 Fiscal Year Annual Research Report
西洋法継受と近代日本の形成-ローレンツ・フォン・シュタインの資料的研究を通じて-
Project/Area Number |
07620003
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
宇都宮 純一 愛媛大学, 法文学部, 教授 (70151909)
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Keywords | ローレンツ・フォン・シュタイン / 明治憲法 / 伊藤博文 / 河島醇 / 渡辺廉吉 |
Research Abstract |
今年度は「シュタイン遺文書」の分析を行うと同時に、これに関連する研究を国の内外から求め、さらに史料の収集を行った。先ず、ドイツにあっては、既に1992年出版のブラウネーダー/ニシヤマ編の研究書により、新資料の紹介がなされたことを受けて、これと「シュタイン遺文書」中の史料との照合を行い、同一のものであることを確認する一方、国内の既知の史料を網羅することによってシュタインと日本の明治政府の要人たちや明治期の著名人たちとの交流の全体的な鳥瞰図を描くという作業を行い、これを通じて日本におけるさらに明確なシュタイン像を浮き彫りにした。次に「シュタイン遺文書」の中でも特に書簡類に注目し、とりわけ伊藤博文の滞欧憲法調査の随行員たちの活動の具体的内容に焦点を当てて、検討を加えた。ただ、三好退蔵の場合はともかくとして、渡邊廉吉、河島醇の活動について今ひとつ明確には把握することはできなかった。今後の課題として、さらに別途、史料の探索も含めて分析を継続していきたい。この点に関連して、よしの作蔵の帝國大學新聞や東京朝日新聞に掲載された寄稿記事(文献紹介)にもシュタイン関係のものが見られ、「スタイン起草日本憲法按」などの紹介、故渡邊廉吉の蔵書への言及がなされており、興味深い。また、ウィーン大学に提出された日本人研究者のシュタインに関する学位論文も、情報提供の点で有益であり、関連資料として大いに参考にさせて戴いた。なお、「シュタイン遺文書」に収められている書簡の発信人の氏名の特定が未だ完全ではなく、この点も今後の課題として残されている。
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