1997 Fiscal Year Annual Research Report
中世末期-近代初期イギリス刑事法制における立法と司法の関係
Project/Area Number |
07620009
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Research Institution | KOMAZAWA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
北野 かほる 駒沢大学, 法学部, 助教授 (90153105)
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Keywords | 騒擾 / 異端 / 王座裁判所 / 教会 / ロラ-ド |
Research Abstract |
1 1414年異端法(第3異端法)の制定趣旨の解明のため、同法制定の直接の契機となったと推測される1413年の異端審問(サ-・ジョン・オールドキャッスルの異端審問)の記録を分析し、同審問に関して従来述べられてきた同審問への国王の関与の程度と基本的姿勢について考察した。 2 その結果、以下の仮説を得た。同審問にはこれを推進したカンタベリ-大司教に隠された動機が存在した可能性は残るが、それは、従来一部の研究者が考えてきたような、国王ヘンリー5世と大司教との政治的主導権抗争のようなものではなく、カンタベリ-大司教にとってはジェントリ出身の貴族(妻の身分による貴族)がカンタベリ-近辺で半ば公然とロラ-ド的行動をとっていることの警戒と処罰の必要性が、国王にとってはこうした貴顕の宗教的動向が社会全般に及ぼす騒擾の蔓延の危機の警戒が、それぞれ当面の課題として浮上したものである。この仮説の検証のためには、オールドキャッスルの社会的地位とその宗教思想との分析が必要である。今後当面はこの点に焦点を当てて研究を継続する予定である。 3 上記研究成果の一部を、以下の題目で口頭発表した。 (1)「中世末期イングランド教会の異端政策--世俗異端法とのかかわり一一」 (1997年4月28日・法と歴史研究会・駒澤大学) (2)「中世末期イングランドにおける騒擾裁判例--ヘンリ5世治世第2年(1414年)トリニティ開廷期王座裁判所記録から--」(1997年7月19日法制史学会東京部会第175回例会・駒澤大学)
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