1996 Fiscal Year Annual Research Report
「個人の尊厳」の原理に照らしてみた現代の新しい人権問題の考察
Project/Area Number |
07620014
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
戸波 江二 早稲田大学, 法学部, 教授 (00155540)
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Keywords | 個人の尊厳 / 幸福追求権 / 自己決定権 / 新しい人権 / 人権の基礎理論 / 基本権保護義務 / 違憲審査制 / 憲法裁判 |
Research Abstract |
平成8年度は、人権の基礎にある「個人の尊厳」についての基礎研究を行うとともに、憲法13条の幸福追求権について体系的・原理的な研究を行った。 幸福追求権に関する研究は、平成7年10月に行った日本公法学会での幸福追求権に関する報告に基づき、それをさらに深めて公法研究58号に論文として発表した。そこでは、幸福追求権が憲法の人権規定に列挙されていない権利を導き出す根拠となる規定であるという通説・判例を前提に、どのような権利がどのように導き出されたかについて考察し、幸福追求権が広く個人の自由な自己決定を保障していること、その自己決定は人間の自由な行為一般に及ぶと解すべきこと、このような自己決定の潤源は19世紀リベラリズムに由来することなどを論じた。 また、「個人の尊厳」から派生する人権問題として、人権の私人間効力に関連してドイツの基本権保護義務論、裁判を受ける権利の現代的保障のあり方、生存権の保障、などについて研究し、論文を発表した。また、人権保障を支える法制度である違憲審査制についても、日本の違憲審査制の歴史的展開、現実の機能、最高裁の憲法判例の問題点、違憲審査制の活性化の課題などについて研究した。さらに、現在研究中のテーマとして、人権の基礎理論、環境権の法理、選挙権の実効的保障(とくに在外選挙権の保障)などがあり、研究としてまとまり次第順次発表していく予定である。 平成8年度の「個人の尊厳と新しい人権問題」に関する研究は総じて順調に進み、所定の成果をあげたと評価することができる。今後なお研究をまとめていく所存である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 戸波江二: "国の基本権保護義務と自己決定のはざまで" 法律時報. 68巻6号. 126-131 (1996)
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[Publications] 戸波江二: "裁判を受ける権利" ジュリスト. 1089号. 279-284 (1996)
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[Publications] 戸波江二: "第三者所有物の没収と適法手続き" 法学教室増刊「憲法の基本判例(改定版)」. 156-159 (1996)
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[Publications] 戸波江二: "幸福追求権の構造" 公法研究. 58号. 1-27 (1996)
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[Publications] 戸波江二: "司法権・違憲審査制の50年(109-131頁)" 樋口=森=高見=辻村編「憲法理論の50年」日本評論社, 376 (1996)
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[Publications] 戸波江二: "人権総論(67-106頁)" 大須賀明編「現代法講義憲法」青林書院, 370 (1996)