1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07620019
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
安本 典夫 立命館大学, 法学部, 教授 (20066723)
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Keywords | 都市計画法 / 建築基準法 / 開発行為 / 原告適格 / 訴えの利益 / 計画許可 / 住民参加 |
Research Abstract |
平成7年度の特に前半は、1月17日に発生した阪神・淡路大震災とそこからの復興に関わって本研究も進める側面が必然的に出てきた。 大震災の後、住民が「疎開」、非難している状況の下でのコンセンサスの形成には、建築制限のあり方(被災市街地復興特別措置法を活用すべきであったが、しかし同法による建築制限には、自己居住用しか認めないなど問題も多い)、仮設住宅供給(市街地内での供給の可能性と、仮設住宅団地でのコミュニティ形成)、復興建築などの促進、そこでのコミュニティの維持・形成の課題が重要であることを論じた(「復興まちづくりと住民参加」ジュリスト1070号、「震災復興まちづくりのプロセスのあり方」1995.11民主主義科学者協会法律部会研究大会シンポジウム報告、『法の科学』24号掲載予定)。 本研究のテーマの重要な軸の1つである「都市計画法制と建築法制との二本建て構成」は、耐震性ある建築ストック形成上も大きな限界をもっていること(「概存不適格建築物の扱い」法律時報67巻9号)、また、この二本建て構成は、不自然に狭い「開発行為」概念をしばしば導き、それが(狭義の)訴えの利益の否定要因として機能し、そのことによって司法統制、訴訟の場を使った住民の関与の機会を不当に狭めるようになることを論じた(判例解説「開発許可処分一部無効確認請求事件」判例地方自治144号)。 後者は、都市計画法過程における行政以外の専門家、「素人」たる住民の果たす役割の再評価と、訴訟の場における専門的裁量のコントロールに関わる問題に関連する。それを正面から、計画許可を争う訴訟における原告適格の問題として検討し、わが国の原告適格が行政機関を構成する専門家の判断に過度な信頼をよせて上記の他の担い手を過程から疎外していることを論じた(「計画許可を争う住民の原告適格をめぐるイギリスの判例の動向」立命館法学242=243号)。 都市計画法の過程における専門家の位置づけとそれが機能する局面については、なお資料を収集しながら研究を行っているが、surveyer等が地方公開審問等で果たす役割について一定の検討をした(1995.11不動産学会における谷下雅義氏報告「日英の公共事業用地取得における利害調整システムの比較」に対するコメント)。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 安本典夫: "計画許可を争う住民の原告適格をめぐるイギリスの判例の動向" 立命館法学. 243・244号. 72-94 (1996)
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[Publications] 安本,典夫: "復興まちづくりと住民参加" ジュリスト. 1070号. 87-92 (1995)
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[Publications] 安本典夫: "防災まちづくりと既存不適格建築物の扱い" 法律時報. 67巻9号. 41-45 (1995)
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[Publications] 安本典夫: "判例解説・開発許可処分一部無効確認請求事件" 判例地方自治. 144号. 51-53 (1995)