1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07620027
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
近藤 光男 神戸大学, 法学部, 教授 (40114483)
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Keywords | 代表訴訟 / 取締役の責任 / 責任保険 / 経営上の過失 |
Research Abstract |
平成8年度における本研究では、平成7年度に行なった、イギリスをはじめとするヨーロッパ及びアメリカ合衆国における取締役の責任とその救済の在り方についての研究をふまえ、わが国における取締役の損害賠償責任はどうあるべきかを、立法論及び解釈論の両面から、検討した。アメリカにおいては、取締役の責任保険が広く活用されていることから、わが国でもこの種の保険を広く活用できないか、あるいは活用すべきではないか検討した。現在でもこの種の保険はわが国でも販売されているが、填補対象は訴訟費用が中心であり、賠償額についての填補を求めるには、特約を結ばなければならない。しかも、この種の特約は取締役個人が保険料を負担することになっているために、必ずしも十分利用できるものになりうるか疑問である。わが国の学説では、この種の保険料を会社が負担することを認めないとするものが少なくないため、このような実務となっているが、イギリス会社法のように、会社がこの種の保険料を支払えることを明文で認める必要があろう。そうでなければ、取締役は経営上の過失により多額の賠償を支払わされるというリスクから解放されることがなく、経営活動が萎縮してしまう恐れが大きい。アメリカでは責任保険の入手が難しくなると、責任免除や責任制限を各州の会社法が定めるようになった。わが国では責任免除の規定がきわめて厳格であり、立法論的にはなんらかの手当てが必要であろう。さらに、取締役の会社に対する責任が、会社に生じた損害額を基準とする考え方も再検討の必要があろう。デンマーク会社法のように、裁判官に責任額の認定に広い裁量を与えることも考えられる。
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