1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07620036
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
長尾 治助 立命館大学, 法学部, 教授 (90014430)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 真一 立命館大学, 法学部, 助教授 (80240547)
山下 真弘 立命館大学, 法学部, 教授 (20108781)
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Keywords | サービス契約法 / 新種の契約 / サービス給付の確定 / 契約責任 / 公序良俗 / 消費者保護 / プリペ-ドカード / テレマーケティング |
Research Abstract |
本年度はニューサービス契約法研究の初年度として、(1)通則的課題一題と(2)各論領域から二題を探究したほか、(1)にかかわるサービス給付の確定に関して判例の検討を行っている。 (1)通則的課題として契約当事者にかかわる問題のうち、国籍、性別など先天的事由にもとづく契約拒否がサービス契約において散見されるところから、契約拒否と契約自由の関係および公序良俗則の適用を検討した。サービス契約においてこの種の問題事例が生ずるのは、物売買にあっては当事者双方に物と銭の取得に重点があるのに対して、サービス契約は、給付の性質と当事者の属性に意味をもつ場合が多いということも、本課題をとりあげた理由である。 (2)カード関連法のうち、プリペイド・カードに関する法律関係の明確化を追及するため、関係事業者からの聞き取り調査等を実施するとともに、内外の関係図書の収集・検討を進めてきた。今後さらに、これらの作業を進めるとともに、課題についての検討と分析を推し進め、中間総括および成果の取りまとめへとつなげたい。 (3)また、近時、社会問題化しているテレマーケティングを通じての契約をとりあげることにしたが、テレマーケティング事業の規制は、産業支援と消費者保護のはざまに位置する問題である。そこで、これをいかに規制するかについては海外の動向を参照しつつ検討を行ったが、訪問販売法の改正による業法的規制が予測されるなかで、民法典の改正を通じて私法的規制を行うことが今後の課題となるものと考えられる。 (4)顧客から事務の処理を依頼された専門家が負う債務の範囲をどう確定するか、また、無償契約においては義務が軽減されてよいかという問題を税理士の債務不履行を問題にした判決の検討を通じ明らかにする作業を行った。
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[Publications] 長尾治助: "サービス契約における差別" 立命館大学人文科学研究所紀要. 64号. 85-95 (1996)
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[Publications] 長尾治助: "税理士には相続税修正申告の事務処理にあたり、委任者へ延納許可申請の助言・指導義務があるとした事例(東京高判7・6・19)" 判例評論. 445号. 205-210 (1996)
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[Publications] 長尾治助: "遠隔地へ向けての勧誘およびテレマーケッティングと相手方の保護" 立命館法学. 243号. 1-31 (1996)