1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07620053
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石井 明 東京大学, 教養学部, 教授 (10012460)
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Keywords | フルシチョフ / スターリン批判 / 毛沢東 / 珍宝島事件 |
Research Abstract |
ソ連邦崩壊後、中ソ関係についてのソ連側資料がある程度、使えるようになった。本年は、こうしたソ連側資料を使いつつ、さらに両国のこれまでの公開資料を使い、1950年代、中ソ指導者の間に生まれた認識のズレから、次第に相互不信がエスカレートしていく構造ができあがり、対話のチャネルが失われていったことが対立に拍車をかけていった過程を中心に研究を進めた。1950年代は表面的には中ソ友好が喧伝されていたが、実際は緊張をはらんだ同盟関係の時代であり、中国の指導者からみれば、面従腹背的外交をせざるをえない時代であった。研究代表者は中国の指導者はいつからソ連に対して面中腹背から一歩進んで異議申し立てをするようになったのかに関心を持ってきた。この点に関し、1956年、ソ連共産党第20回大会でフルシチョフがスターリン批判を行った直後の毛沢東と当時の中国駐在大使ユ-ジンの会談記録を入手し、両国の指導者の認識のズレがみられるかどうかについて検討を加えた。こうした検討を通じて、フルシチョフがスターリン批判を契機として、ポスト・スターリン期の中ソ両国の指導者の間に認識のズレが生じたことは実証的に明らかにすることができた。その後、ソ連側が気づかないまま、毛沢東をはじめとする中国の指導者はソ連に対する不満をつのらせていったのである。本年はさらに1969年、中ソ国境を流れるウスリ-江の川中島の珍宝島で両国国境守備軍が戦った珍宝島事件についても、両軍の現地指揮官の回想をを入手し、批判検討を加えた。
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[Publications] 石井,明: "珍宝島事件に関する一考察" 中国の社会と国際関係. 99-117 (1995)
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[Publications] 石井,明: "毛沢東の外交スタイルについての一考察-スターリン批判と中ソ対立" グレーター・チャイナの政治変容. 150-170 (1995)