1995 Fiscal Year Annual Research Report
19世紀フランス・第二帝政期におけるパリ都市改造に関する歴史的研究
Project/Area Number |
07620056
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
羽貝 正美 新潟大学, 法学部, 教授 (60208410)
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Keywords | 都市政策 / 都市行政 / 都市計画 / 都市史 / フランス / パリ改造 / ヨーロッパ / オスマン |
Research Abstract |
平成7年度は,3カ年計画による本研究の初年度のあたる。そこで、設定した研究課題にアプローチするに際して、より広い視野にたって、かつ、都市行政の長期にタイムスパンを意識しつつ考察を進めるために、今年度は次の3点を主たる検討課題とした。(1)19世紀のパリ都市改造に関する研究を含めて、近年の欧米の都市研究の動向を把握すること。(2)パリ改造研究の基礎作業として、19世紀前半のフランスの都市化の実態と、そこに顕在化することとなる政治的・行政的課題を明らかにすること。(3)パリ改造の最も重要な推進主体であったセ-ヌ県知事オスマンの経歴をより詳細のフォローすること。以上の3点である。(1)については、この10年間程の間に、フランスを中心にイギリス、アメリカ等で種々の作品が世に問われていることが明らかになった。それらは、19世紀を起点とする都市化現象と,これに対する都市の公共的制御の試みのもつ歴史的意義を、近代都市計画の再検討という共通の問題意識から問い直そうとするものといってよい。本研究を進めるうえで、それらから受けた示唆は大きい。(2)の都市化の実態についても、1840年代の議論を主たる素材として、当時の都市状況と住民の生活実態について理解を深めることができた。とりわけ土地利用に対する公的介入の強化とそれに基づく都市の居住空間の再生に、議員、行政当局および技術官僚らが新しいポジティブな意味を認め、これを積極的に制度化しようとの議論を進めていたことが明らかになり、本研究にとって大きな収穫であった。(3)の知事オスマンのキャリアについては、イリノイ大学デイビッド・ジョーダンの新資料による最新の伝記が示唆に富み、都市改造の全過程を鳥瞰するためにも非常に有益であった。
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