1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07620063
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小山 勉 九州大学, 法学部, 教授 (40018817)
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Keywords | 哲学的自由 / 自由主義 / 立憲君主制 / 純理派 / 初等教育 / 七月王政 / 二月革命 / 文明論 |
Research Abstract |
本年度の研究対象は、二人の文人政治家ロアイエ・コラールとフランソア・ギゾ-である。 1.復古王政下でソルボンヌ大学で近世哲学史を講じたあと、代議士となり、下院議長を務めたロアイエ・コラールに関する研究書を入手・複写し、彼の議会演説については《Archives Parlementaires》を閲覧し、関連部分を複写した。これらの文献・資料の検討を通じて、彼が哲学的な自由論と、フランス革命後の新しい支配階級であるブルジョアジーを中心とする政治体制として立憲君主制論を解明した。彼の立憲君主制論は、政治学的観点からみると、必ずしも理論的成熟度とが高いとは言えない。ただし、彼の哲学的な自由論は当時の純理派に指導的な影響力を与えていることを実証的に解明した。彼の思想・議論の文法は、一般的・抽象的な原理論の傾向が強く、現実的主義的な思考・議論様式は弱い。 2.復古王政下でソルルボンウ大学で近世史を講じ、純理派の創始者としてのフランソア・ギゾ-が展開した代議政治論、ヨーロッパ文明論、フランス文明論を、入手した彼の著書と研究書で解明した。また、七月王政におけるギゾ-の内相、文相、外相、首相としての政治戦略がブルジョア体制の安定化のための平和・無改革、さらには労働者階級の要求を無視する路線であったことを解明した。彼のブルジョア体制の安定化のための制度整備や政治戦略、二月革命で彼を失脚させた彼の政治的指導力と統治能力のあり方についての解明にとっては、特に彼の回想録と議会演説集が有益である。
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