1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07620063
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小山 勉 九州大学, 法学部, 教授 (40018817)
|
Keywords | 自由主義 / 民主主義 / 社会的人道主義 / 政治的楽観主義 / 二月革命 / 第二帝政 / 第二共和政 / 情緒主義 |
Research Abstract |
今年度の研究対象は、二人の文人政治家ヴィクトル・ユゴ-とラマルティーヌである。 1.ヴィクトル・ユゴ-については、七月革命(1830年)後における自由主義・民主主義・社会的人道主義への思想的目覚め、二月革命(1848年)後における議員としての共和政支持の立場、ルイ・ボナパルトによるク-デタ(1851年)への抵抗活動を中心的課題として、その解明に必要なメモワールや研究書を入手・複写し、彼の議会演説については≪Archives parlementaires≫を閲覧し、関連部分を複写した。これらの文献・資料の検討を通じて、彼はフランス革命の理想を引照しつつ、同時代の社会を批判しているが、その主義・主張は抽象的な情緒主義の域を出ず、フランス社会の構造的変化を把握するにはいたっていないこと、およびそこで展開されている哲学的思考方法と論理の特徴とを解明できた。 2.ラマルティーヌについては、代議士選出(1833年)後、秩序と力を尊重した政治哲学、民衆の正義と自由への渇望、反ギゾ-政権の立場、二月革命後の臨時政府の首班としての短命性、1848年12月10日の大統領選挙での政治的敗北を中心的課題とし、その解明のために関連の研究書を入手・複写し、議会演説については≪Archives parlementaires≫を閲覧・複写した。これらの文献・資料の検討を通じて、彼の芸術家的政治センスが民衆を引きつけた時代的雰囲気、彼の情緒主義的抽象性の域を出ない、直接選挙こそ真の民主主義に相応しいとする政治的楽観主義を解明することができた。
|