1996 Fiscal Year Annual Research Report
ヨーロッパ共通農業政策の下での東ドイツ集団農業の再編に関する実態研究
Project/Area Number |
07630028
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
青木 國彦 東北大学, 経済学部, 教授 (70004207)
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Keywords | 農業 / 社会主義 / 集団農業 / 家族経営 / 協同組合 / 経済体制 / 市場経済移行 / 私有化 |
Research Abstract |
東独地域の農業の再編は一段落した模様である。1996年までの再編過程の観察からの本研究の結論は、東独農業は再編されつつも旧体制からのかなりの継承性をも持ち、その特性は当面維持される、ということである。 大規模経営の比重を見ると、農地100ha以上の経営は西独地域には9973あり経営数では1.9%にすぎないが、農地の12.6%を占める。ところが東独地域では、全経営数の24.0%にあたる6442経営が100ha以上を運用し、全農地の94.3%を占める。養豚でも肥育豚600頭以上の大規模経営は西独では1.9%(4191経営)にすぎず、肥育豚の26.4%を占めるにすぎないが、東独では経営の11.5%が該当し、肥育豚の93.1%を占める。乳牛飼養でも類似の状況である。 こうした状況を反映して東独では農業労働力の圧倒的多数(フルタイム労働力換算で約80%)が大規模経営に雇用形態で就労している。 東独大規模経営の農地の殆どは賃貸であるが、過半が長期賃貸契約になったことにより経営基盤の不安定要因が減少した。但し、個人経営は人的会社は黒字経営であり、そのうちの一部は西独農家の収益率を上回っているが、法人経営は、直接市場向けの農産物を作っている経営のみがようやくわずかの黒字に転換したが、飼料作物を主とする経営は依然として赤字である。この点では生産性は価格の動向とともに補助金や休耕措置などについてのEUによる対東独特例がいつまで続くかも重要な要因である。 再編の後始末として、脱退組合員への持ち分返還問題と占領時土地改革の補償問題などが依然として繰り返し政治問題化しているが、再編の基本的プロセスは終了したと言える。
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