1996 Fiscal Year Annual Research Report
APEC地域自由化の経済効果-WTO体制下での開かれた地域主義-
Project/Area Number |
07630031
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
永田 雅啓 埼玉大学, 教養学部, 助教授 (50261871)
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Keywords | 経済統合 / 地域統合 / 地域主義 / APEC / 世界経済モデル / 計量経済モデル / 自由貿易地域 / WTO |
Research Abstract |
本研究では、金利・為替など国際金融への影響も含めた経済統合のマクロ経済的な効果を、APEC地域という具体的な事例を通じて定量的に明らかにすることを目的としている。また、こうした研究目的を達成する上で必要となる、適切な規模の世界経済モデルの構築を行う。経済統合に対する従来のアプローチは、主としてミクロ経済分析が主であったが、本研究の特徴は、実物経済への影響を中心としたこれまでの研究蓄積を生かしながら、経済統合が実物経済のみならず、国際金融の側面に与える影響についても合わせてマクロ的に分析することである。 平成8年度において実用可能なモデル構築用ソフトウェアを開発した。ソフトウェアは、改良すべき課題も多いが、平成7年度までで最大の問題であった、システムの不安定性が改善され、ほぼ安定的に動作するようになってきている。平成8年度からは、3,000以上の変数を含むデータベースを構築中である。資本ストックのデータなどで一部不完全なところはあるが、主要データ系列の作成は終了した。これに基づき、個別式の推計を行っている。国の数が16あり、原則的にこれらの2国間の組み合わせ全てに関して輸入関数を推計するため、240以上の輸入関数を推計している。それぞれの推計式に関して、複数年のデータ期間で推計するため、実際の推計は数千パタ-に及ぶが、開発したソフトウェアでは、これらの推計が効率的に行える。また、平成8年度は、貿易ブロックに加えて、消費関数などを含む需要サイドを中心とするモデルを構築し、基本的なテストを実施した。テスト結果は概ね満足のいくものであり、モデルも安定的に動く。これらの結果を踏まえ、平成9年度には、各国モデルに供給サイド要因、金融市場ブロックを加え、より精緻なモデルとする。
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