1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07630034
|
Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
|
Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
藤田 伍一 一橋大学, 社会学部, 教授 (30017636)
|
Keywords | 企業年金 / 厚生年金基金 / マネジド・ケア / カフェテリア型企業福祉 |
Research Abstract |
平成7年度では、年金と医療のそれぞれの内部問題の把握を目的に作業をおこなった。まず年金については、公的年金の所得代替率の見直しに留意して、企業年金の補完的役割のありかたを実態に則して検討するために、有力な厚生年金基金を中心に予備調査と聞き取り調査を実施した。その結果、積立金運用の予定利率が達成できない基金が多く、このままでは公的年金を補完する機能に支障がでることが分かった。ポスト・バブルのため企業年金の財務が急速に悪化して当初の給付予定額を賄えないために中には解散を真剣に検討しているところも散見された。企業年金の補完能力の減退傾向から見て、今後、「給付建て」から「拠出建て」に変換する年金がでてくるのは確実と見られる。そのため、実態調査をおこなうにあたっては、平面的なアンケート調査よりも重点的に有力な年金基金について集中的に「聞き取り調査」を実施する方がより効果的と判断している。 また医療については、理論研究を主体とするため、費用抑制の合理的方法に関して、内外の文献・資料の収集をおこない、その第1次的解析をおこなった。わが国では年間に1兆円づつ増加している国民医療費のうち相当部分が老人医療費の上昇によって拡大している。診療評価方式の合理化をいっそう進めるためには、アメリカ型の「マネジド・ケア」をわが国に適用できるよう改善して採用することが必要と考えられる。今後はアメリカで主流となりつつある「カフェテリア型」企業福祉を参考に年金と医療の統合化と弾力化をはかる条件を調査・研究する計画である。そのため平成8年度の研究計画では、年金だけでなく医療についても聞き取り調査を精力的に実施したいと考えている。
|