1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07630035
|
Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
秋葉 弘哉 早稲田大学, 政治経済学部, 教授 (60138576)
|
Keywords | 総供給関数 / マンデルの命題 |
Research Abstract |
伝統的な国際マクロ経済学が供給側の諸要因を軽視しているという批判に基づいて、最近では世界的に供給側の要因を考慮したモデル分析が散見されるようになってきた。当該年度における本研究においては、マンキュー等によってその有用性が強調されている「効率賃金仮説」を導入した総供給関数、より具体的にいうと実質為替レートの減少関数として定式化される総供給関数を用いて、それに加えて為替レートと国内物価水準は過去のマクロ経済変数のデータの全情報を用いて合理的に期待されるとする形成過程を仮定した開放マクロモデルを構築した。モデルは基本的に小国モデルである。この様に供給サイドを定式化することによって拡張された開放小国モデルを用いて、いわゆるマンデル=フレミングの命題といわれる命題、すなわち国際資本移動のスピードが無限大であるとする完全資本移動の仮定の下においては、国内産出量のコントロールについて金融政策は有効、他方財政政策は無効であるという命題を再検討した。 その結果、マンデル=フレミングの命題は成立せず、拡張的金融政策は国内産出量を刺激することに対して無効、または拡張的財政政策は無効どころか有害な効果をもたらすという結論が得られた。この金融政策についての私の結論はLai(1993)の結果と同一であった。また縮小的財政政策の結果はDevereux and Purvis(1990)等の近年の議論を証明したものである。特に後者の理由は、拡張的財政政策により名目為替レートは増価するものの、現行及び将来物価水準の期待の下落が中長期に実質為替レートの減価を導き、実はこの実質減価が、その減少関数として定式化されている総供給関数を通じて"perverse"effectをもたらすところにあるという事を証明した。またこのような結果はSaidi and Swowoda(1983)にも実証的観点から主張されていて、現実性のある事としてその正当性を主張した。
|