1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07630040
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
水谷 文俊 神戸大学, 経営学部, 助教授 (60263365)
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Keywords | 民営化 / 鉄道 / 交通 / 効率性 |
Research Abstract |
本研究の主要目的は、鉄道産業において公共セクターが民間セクターに転換していく際に、効率性を中心としたパフォーマンスがどの程度向上したのかを、日本国鉄の民営化および日本の大手私鉄を対象に計量的に分析することである。今年度の分析の計画は、4段階のステップ、すなわち、(1)文献調査及び初期分析、(2)データ収集及びデータ入力、(3)データ解析及びデータ補完、(4)モデル構築と政策分析、のうち、(3)までを行なうことであった。本年度は、文献調査及びデータ収集、データの初期分析が中心となっている。 本年度の研究実績は次のとうりである。まず、文献調査に関しては洋書の入手が一部遅れている(新た追加した資料があったりした)ため、約80%の終了したところである。そしてデータの収集はほぼ終了し、データ解析をおこなっている。本年度明らかになった知見として、経営形態の効果と競争条件の効果を分離する必要があることである。幾つかの文献では、経営形態の効果よりも競争条件の効果のほうが効率性に大きく影響することを指摘している。(また、幾つかの文献では、経営形態の差はほとんどないというものもある。)その中で、Parker (1994) (“Nationalisation, Privatisation, and Agency Status with Government: Testing for Importance of Ownership," In Jackson, P. M. and C. M. Price (eds.) Privatisation and Regulation, Longman, London, U. K.)は経営形態と競争条件の両方が効率性に影響を及ぼすフレームワークをうまく提示しており、また経営形態の重要性についても実証的に提示している。今回、日本の私鉄産業を例としたデータ解析でも、経営形態と競争の効果が費用削減に貢献しているという結果が得られている。(一部の成果を発表予定)また、民営化のプロセスの過程で費用削減がなされ、時系列データを用いた営業費用データの分析でも民営化の効果が計測されている。今後、このモデル分析を拡張していく予定である。
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[Publications] Fumitoshi Mizutani: "Empirical Analysis of Railway Competition in Japanese Railway Industry" Proceedings of 5th World Congress of the Redional Science Association International, Tokyo, Japan, May 2-6. (1996)