1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07630068
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
久保 亨 信州大学, 人文学部, 教授 (10143520)
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Keywords | 中国経済史 / 企業経営 / 会社法 / 企業会計 |
Research Abstract |
各地の研究機関に所蔵されている資料文献類、並びにこの間に中国で刊行された書籍類を収集分析した結果、次の諸点について考察を深めることができた。 1.中国の企業経営における企業会計のあり方、帳簿の記入方法などを具体的に把握すること。 在来の記帳方法が改められ、貸借対照表、損益計算書などの財務諸表が作成されるようになったのは、中国を代表する汽船会社である輸船招商局の企業会計の変遷を詳細にまとめた『招商局会計史』にも示されているとおり、19世紀末から20世紀初めにかけての中国企業の大きな変化であった。そうした新しい企業経営は一部に限られていたとはいえ、次第に増加する傾向にあった。 2.経営理念・利益金処分・人材登用の方針などを検討し、中国的企業経営の特質を明らかにすること。 栄宗敬らの企業グループや劉鴻生らの企業グループの例から知られるとおり、同族経営への執着、積極的な経営多角化志向、異部門異種産業への進出に対する抵抗感の少なさ、金融流通部門の重視、株主への配当より経営内蓄積を重視する姿勢等々、現代の華人企業の経営内容にも共通する特質が浮き彫りにされた。 3.企業経営と政府の経済政策との関連に注目すること。 清末から民国期にかけ何度も制定された会社法は、利益金処分における積立金の比率や株主の権利義務に関する諸規定などを通じ、民間の企業経営のあり方にも大きな影響を及ぼしていた。そうした傾向はとくに1930年代に顕著である。
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Research Products
(1 results)