1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07630078
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Research Institution | Kumamoto Gakuen University |
Principal Investigator |
幸田 亮一 熊本学園大学, 商学部, 教授 (60153475)
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Keywords | 機械工業 / 工作機械工業 / ドイツ経済史 / 技術革新 / 合理化運動 / 再大戦間期 |
Research Abstract |
3年にわたる継続研究の最終年にあたり,ようやく平成9年4月に,最初の研究成果を「1920年代ドイツ工作機械工業の危機と再編」(『熊本学園商学論集』第3巻第3・4合併号)として公表した.ここでは,第一次大戦で急膨張したドイツ工作機械工業は戦後の困難期に立ち直れなかった,という通説的見解に対し疑間を投げかけ,インフレーション期の好況,1924年不況,その後の回復過程の実態を統計数値を利用しながら捉えなおした.その結果,とくに,1920年代後半の回復期には5カ年計画を遂行中のソ連からの注文が大きな役割を果たしたこと,それを可能にした背景として,合理化運動に伴う製品技術の向上があったことを指摘した. この技術革新の実態を解明することに,その後の研究の重点を移し,収集した文献・資料を読み進めてきた.まず,ワイマ-ル合理化運動の中での工作機械工業の位置を明確にした上で,電動機と超硬合金を契機とする技術革新の具体的な中身の検討をすすめてきて,大量生産指向のアメリカの工作機械と異なる,柔軟な量産を可能にする工作機械の開発をドイツの技術者達は目指してきたことを解明しつつある.この結果は,現在,論文に執筆中で,近いうちに公表する予定である.さらに,ナチス期の工作機械工業についても並行して研究を進めており,従来のMilwardらの通説に検討を加えているところである.
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