1996 Fiscal Year Annual Research Report
組織学習シミュレーションによる経営戦略と経営組織の進化の研究
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07630102
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 伸夫 東京大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (30171507)
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Keywords | 組織学習 / ゴミ箱モデル / 囚人のジレンマ / 協調行動 / 未来係数 / 組織均衡論 |
Research Abstract |
今回の研究計画では経営戦略の形成プロセスを組織学習的な観点から分析することを意図している。しかし、組織学習を数理モデルとして解析的に分析することには、テクニカルな意味で限界がある。そこで、Marchらのゴミ箱モデルをより簡便にしたシミュレーション・プログラムSingle Garbage Can Program(SGCP)を開発した。その結果、組織の計量的研究の成果を踏まえて、経営組織の中で経営戦略が形成されるプロセス、経営戦略の果たす機能について、集団的学習のシミュレーションをSGCPを使って行うことができるようになった。その結果は、Human Relationsに年内に掲載される予定であるが、一部は啓蒙書である拙著『できる社員は「やり過ごす」』の中でも紹介を試みた。 さらに囚人のジレンマ状況で、経営戦略及び意思決定原理が進化していく様子をコンピュータ・シミュレーションによって描写できるプログラムの開発に着手しているが、その理論的な考察と適用可能性については、他の研究者の知見も交えながら拙編著『未来傾斜原理-協調的な経営行動の進化-』の中で触れることができた。ゲーム理論で考えれば、共倒れになるはずの囚人のジレンマ・ゲームも、ゲームが長期間にわたって行われた時には、実験でもシミュレーションでも協調関係が現れる。そしてその協調行動を安定させるためには、未来に対する重みづけである未来係数が十分に大きいことが必要であることが理論的に証明される。例えば、日本企業のもつ強い成長志向などはその典型例である。 これまでは、研究の途中経過を断片的に紹介してきたが、現在、まとまった研究書の形で発表することを目指して、研究成果をまとめる作業に入っている。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Takahashi,Nobuo: "The multi-office system in technologically advanced society" Urban Life and Traffic(論文集). 157-169 (1996)
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[Publications] 高橋伸夫: "企業内外の参加者の組織均衡" 経済学論集(東京大学経済学会). 62・2. 23-37 (1996)
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[Publications] 高橋伸夫: "組織活性化論を超えるII図の有効性" 商学論集(熊本学園大学). (印刷中). (1997)
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[Publications] Takahashi,Nobuo: "A single garbage can model and the dagree of anarchy in Japanese firms" Human Relations. 50(in press). (1997)
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[Publications] 高橋伸夫: "ぬるま湯的体質の研究の展開" 東京大学経済学部Discussion Paper. 96-J-13. (1996)
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[Publications] 清水剛・高橋伸夫: "有限反復囚人のジレンマにおける協調行動の進化" 東京大学経済学部Discussion Paper. 96-J-17. (1996)
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[Publications] 高橋伸夫: "できる社員は「やり過ごす」" ネスコ/文藝春秋, 221 (1996)
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[Publications] 高橋伸夫(編著): "未来傾倒原理-協調的な経営行動の進化-" 白桃書房, 251 (1996)