1996 Fiscal Year Annual Research Report
国際比較および金融・財務論的研究を基礎とした金融商品取引の会計処理と開示の研究
Project/Area Number |
07630118
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Research Institution | OTARU UNIVERSITY OF COMMERSE |
Principal Investigator |
山本 真樹夫 小樽商科大学, 商学部, 教授 (10122938)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井村 進哉 中央大学, 経済学部, 教授 (50176509)
中村 竜哉 小樽商科大学, 商学部, 助教授 (20241416)
松本 康一郎 小樽商科大学, 商学部, 教授 (70157361)
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Keywords | 金融商品 / 会計 / 開示 / オフバランス / 住宅金融 / 財産権 |
Research Abstract |
本研究は、規制緩和を推し進めるなかでの金融市場改革は、その一方で公正な情報開示の充実が取引当事者に求められねばならないという視点に立ち、2年間にわたり「金融商品取引の会計処理と開示の研究」に取り組んできた。以下において、研究実績に基いて得られたいくつかの知見を示すことにする。 今日の金融商品取引における複雑さは、当該取引に関わる価格変動リスクとそれの認識に起因する。企業の外部報告会計は、この種のリスクに関する情報開示を積極的に行う必要がある。本研究によって収集された欧米諸国各企業の年次報告書を詳細に調査した結果、情報内容の点でかなりのばらつきが見られるものの、このことに関する積極的な開示の姿勢が財務諸表注記(Notes)において確認された。ただし、とくにデリバティブは、当該取引それ自体またはそれの一部についてオフバランスとなるものがあり、この問題は、取得原価会計から時価会計への移行によって基本的に解決される。わが国でも、これまでに個別金融商品ごとの会計基準の整備が図られてきた。しかし、その会計基準形成過程においては、金融商品全体に関わる包括的な会計基準の設定が欠けていた。このことは、英国においても同様のことが当てはまり、多様な複合金融商品が取り扱われている状況に鑑みて重要な検討課題であるという認識に至った。いまひとつの重要なのは、時価評価に基づく含み損益の開示である。金融商品取引の時価評価は、貸借対照表における資産・負債としての開示を促す一方で、損益計算書において未実現の含み損益を開示するのが適切なのか否かという問題を引き起こすのである。本研究では、貸借対照表、損益計算書およびCash Flow計算書に並ぶ第4の財務諸表の作成開示が有効な手段のひとつであると考える。なぜなら、この計算報告書は、損益計算書を経由せずに資本の部に直接計上された剰余金の期中変動額の開示を目的とし、具体的には、固定資産の時価評価損益、為替換算調整勘定および時価評価損益が計上されるからである。なお、本研究においては、金融商品取引に関わる金融市場および企業財務の基礎的考察も行われ、上記の知見は、そうした基礎的考察に基づいたものであることは言うまでもない。
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[Publications] 山本真樹夫: "現金収支計算書の作成" 企業会計. 48巻10号. 36-42 (1996)
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[Publications] 井村,進哉: "アメリカの住宅金融機関(S&L)の経営破綻処理" 月刊 住宅着行統計. 137号. 16-21 (1996)
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[Publications] 井村進哉: "Financial Liberalization and Securitization in Housing Finance and the Changing Roles : of Government" Discussion Paper Series 小樽商大. 33号. 1-16 (1996)
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[Publications] 中村竜哉: "コースの定理と企業組織" 商学討究 小樽商大. 47巻. (1997)