1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07630123
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山地 秀俊 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (40127410)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高須 教夫 近畿大学, 商経学部, 教授 (70148732)
中野 常男 神戸大学, 経営学部, 教授 (60093522)
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Keywords | 公開 / 画像 / 図像 / まなざし / 大衆 / アニュアル・レポート / 写真 / 情報 |
Research Abstract |
本年度は、ニコン製品の不良と製造の遅れによって、予定していた画像データベースの作成が、かなり遅れてしまった。この点は来年度にリカバリーできると考えている。 しかし、昨年11月には画像データを用いた歴史研究を行う研究者5人で、「神戸歴史フォーラム」を開催し、日本史・美術史・社会学の研究者と画像データを研究に用いる際の問題点について議論でき、会計の歴史・理論的研究に画像情報を用いるという、従来では考えられなかったアイディアの方法的基礎を確立できたと考える。具体的には、従来から山地の発想である企業の会計情報「公開論」の発想に加えて、フ-コ-流の「まなざし」論による、アニュアル・レポートにおける企業写真の意義付けを行えたと考えている。具体的には、企業の自らの財務・画像情報の公開は、近代(現代)企業が自らに向けた「まなざし」として、意義付けられうるとの結論に達した。「まなざし」論は本来、権力者が弱者に対して自らの思考をヴィジュアライズし、自らの思考する方向に弱者を向かわしめるという発想であるが、公開論とつなげた場合、近代(現代)的企業経営者は、一定の方向性を持つ自らの「まなざし」を、自分自身に向けた会計情報公開によって、自らに対する大衆の評価を会計情報によってのみ行わしめるという慣習を作り、大衆の巨大企業批判を一定の方向に向けるという政策を採る。「群衆」の「公衆」化論である。こうした「まなざし」の変化は日本でも江戸時代から明治期の近代にかけて各方面で発生しており、また諸外国でも発生している共通現象である。ただし、自らに自らの「まなざし」を向ける「情報公開」は、西洋特にアメリカでしか伝統的には見られないのである。この点について、次年度は掘り下げるとともに、画像データベースを完成させて実証的検討も合わせて行う予定である。
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