1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07640279
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
服部 哲弥 宇都宮大学, 工学部, 助教授 (10180902)
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Keywords | ディリクレ形式 / フラクタル / 漸近一次元拡散 / 非等方性 / くりこみ群 / 電気抵抗回路 / シルピンスキーカーペット / infinitely ramified fractal |
Research Abstract |
本研究の目的は,フラクタル,特にinfinitely ramified fractal,の上の非等方拡散の均質化,あるいは等方性の回復,を調べることであった.この問題は,フラクタル上の拡散の一意性やhomogenizationの問題の解決に必要な要素として知られる重要な問題であり,finitely ramified fractalに関しては著者を含めて多くの結果が得られているのに対して,infinitely ramified fractalでは全く手がつけられていなかった.Infinitely ramified fractalのもっともよく知られた例であるpre-Sierpinski carpetの上の有効抵抗の非等方性の漸近的な振る舞いに関して,本研究によって次の成果を得た. 1.Finitely ramified fractalsの場合と同様,等方性の完全な回復を予想するが,現時点では困難な問題である.パラメータについて一様な漸近的評価(弱い意味の等方性の回復)を目標とするべきであることを決定した. 2.フラクタルに特徴的な自己相似性を生かして問題を再帰不等式に帰着させるのが自然な発想である.既に等方的有効抵抗についてはBarlow-Bassの再帰不等式が知られていた.この再帰不等式も非等方的な場合に拡張できると考えられるが,弱い意味の等方性の回復を証明するためには必要ないであろうという結論を得た.むしろ,非等方性の強い,Barlow-Bass型不等式が悪い評価になっているパラメータ領域で有効な,別の再帰不等式群が重要であると考える。このような不等式は有効抵抗を変分問題によって表現したときの試行関数を再帰的に構成することで得られる.技術的には,変分問題のdmainに入るような試行関数を構成することに問題が帰着されることが分かった.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T. Hattori: "Transition density of diffusion on the Sierpinski gasket and extension of Flory's formula" Phusical Reveiw E. 52. 1202-1205 (1995)
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[Publications] M. T. Barlow: "Restoration of isotropy on fractals" Phusical Reveiw Letters. 75. 3042-3045 (1995)