1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07640346
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
野口 正史 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20241515)
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Keywords | 銀河 / 星間ガス / 力学的進化 |
Research Abstract |
N体数値シミュレーションによて銀河の力学的進化や相互作用を調べた。まず相互作用銀河の具体例としてマジェラン雲系を取り上げ、銀河系と大小マジェラン雲の三体相互作用が小マジェラン雲にどのような影響を及ぼしたかを調べた。つぎに、巨大楕円銀河と円盤状銀河の合体のシミュレーションを行った。他の研究者によって明らかにされていたように、このような合体は、同心円状のシェル構造を作り出すが、その際に、星形成がほとんど完全に抑制されることがわかった。この結果に基づいて、シェル銀河にしばしば発見されるポストスターバースト的な中心核は、星形成の突然の打ちきりによるものであるという可能性が示唆された。研究の第二の部分として、星間ガスの重力が孤立銀河の力学的進化にどのような影響を及ぼすかを調べた。その結果、初期の進化段階における銀河円盤内のガス量が、非軸対称構造、特に棒状構造の発生に大きな影響を与えることがわかった。一方、初期のガス量は、銀河円盤の形成のタイムスケールによって決まる。この研究により、銀眼円盤を急速に形成したと考えられる早期型の銀河の棒状構造は、他の銀河との相互作用のような外的な要因によって形成され、円盤の形成がゆるやかであった晩期型の銀河の棒状構造は円盤自身の重力的不安定性によって形成されたという統一的な描像が得られた。最後に、原始銀河のコラプスに伴う円盤状銀河の形成の数値シミュレーションを実行した。その結果、進化の初期に存在する多量の星間ガスが、重力不安定性によって大質量のクランプを形成し、それらが銀河進化の主たる駆動要因として作用する新しいタイプの進化モデルが確立された。このモデルは、最近の観測によって明らかになりつつある初期銀河の特異な形態や測光学的性質を説明できる。また、クエーサー等の活動現象と銀河の力学進化の関連についても斬新な観点を提供した。
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[Publications] L. T. Gardiner: "N-body Simulations of the Small Magellanic Cloud and the Magellanic Stream" Monthly Notices of the Royal Astronomical Society. 278・1. 191-208 (1996)
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[Publications] M. Noguchi: "Barred Galaxies : Intrinsic or Extrinsic ?" Astrophysical Journal. 469・2. 605-622 (1996)
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[Publications] M. Kojima: "Sinking Satellite Disk Galaxies. I. Shell Formation Preceded by Cessation" Astrophysical Journal. 481(発表予定). (1997)