1995 Fiscal Year Annual Research Report
太陽フレアにおける電流ループとプラズマ雲の衝突過程の研究
Project/Area Number |
07640352
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
坂井 純一 富山大学, 工学部, 教授 (50019220)
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Keywords | solar flare / Current loop / particle accelaration |
Research Abstract |
太陽フレア-時に解放される磁気エネルギーがどのような機構でプラズマの加熱や、高エネルギー粒子加速に変換されるかは、宇宙プラズマ物理学の重要な未解決の問題である。 "ようこう'科学衛生で発見された新しいフレア(増田フレアと呼ばれる)は、軟X線で光るループ構造と、そのループの頂上付近の上空に明らかに、ループと異なる領域で、硬x線源をもつフレアである。このフレアは、増田等により電流ループとプラズモイド(プラズマ等)の衝突によって発生したと考えるモデルが提案された。 我々は、このフレアで観測されているX線源を説明するために2次元MHDコードと2次元粒子コードを用いてプラズマ雲と電流ループの衝突過程を調べ、プラズマ加熱機構、及、高エネルギー電子の加速機構を明らかにした。MHDコードを用いて得られた新しい知見は以下のとうりである。 プラズマ雲が電流ループのつくる磁場を横切って接近すると周りの磁場をかきあつめて進むため、雲の前面に新たに電流系が形成され、この電流系と電流ループの合体が生じる。この合体過程で磁気再結合によりプラズマの加熱が起こることが示された。また、プラズマは、そのまわりに形成された電流系の磁場で閉じ込められることが、明らかになった。この磁気再結合によるプラズマ加熱とプラズマ雲が磁場で空間的に閉じ込められる結果は、観測を良く説明している。 一方、3次元粒子コードを用いて得られた新しい知見は以下のとうりである。プラズマ雲の進む速度をいろいろ変えて高エネルギー電子の形成過程を調べた。プラズマ雲が電流ループと衝突すると、ループが曲げられ、そのとき誘起される電場により硬X線を発生させるような高エネルギー電子が形成されることがあきらかになった。又、高エネルギー電子のエネルギースペクトルがフレア時に観測されるダブルパワー則を示すことが発見された。この高エネルギー電子のエネルギースペクトルの性質は多くのフレアで観測されており、今後より詳細な研究により、電子の加速機構が明らかにされる可能性がある。
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[Publications] J.I.Sakai,T.Fushiki & K.I.Nishikawa: "A Model of Solar Flares triggered by Intoractions between Force-free Current Loops and Plasmoids" Solar Physics. 158. 301-316 (1995)
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[Publications] J.Zhao,J.I.Sakai & K.I.Nishikawa: "Particle Simulation of a Collision between a Plasma Cloud and a Current Loop" The Astrophysical Journal. 449. L161-L164 (1995)