1996 Fiscal Year Annual Research Report
(p, np)反応による原子核のアイソバリック・アナログ状態の微細構造の研究
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07640371
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
織原 彦之丞 東北大学, サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター, 教授 (00004432)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺川 貴樹 東北大学, サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター, 助手 (10250854)
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Keywords | アナログ状態 / スピン・アイソスピン励起 / 巨大共鳴 / (p, n)反応 / 陽子放出崩壊 / 高速中性子飛行時間分析 / 核子間有効相互作用 / IASの微細構造 |
Research Abstract |
原子核の巨大共鳴状態は、原子核に於いて陽子、中性子が集団運動を行うことの直接の証であり、その研究は核物理学の重要な位置を占めてきた。アイソバリック・アナログ状態(IAS)は、多数の中性子(空孔)と陽子対がスピン・パリティー: J^π=0^+、アイソスピン: T=1に組んで集団運動を行うものである。最近の関心は、(1)この状態の根源を探る微細構造の研究であり、(2)IASのアイソスピン純度を観測することによって原子核における荷電独立・荷電対称性を検証しようとするものであり、(3)未だ確認されていないアイソベクトル・モノポール状態の研究等である。 ^<140>Ce、^<172>Yb並びに^<208>Pbを標的とした(p, n)反応によってIASを励起しこの状態の状態巾を測定し、更にこの巨大共鳴状態が陽子を崩壊する過程を測定した。本学のAVFサイクロトロンによって加速された35MeVの陽子ビームと過去5回にわたる科学研究費補助金によって整備されてきたTOF装置を使い中性子のエネルギー分析を行ってIASを同定した。更に今回整備された荷電粒子カウンターテレスコープによって崩壊陽子を検出し、世界で始めてIAS生成中性子とIAS崩壊陽子との同時計数測定に成功した。 ^<208>Pbを標的とした研究において、54%の全陽子放出分岐比を得、又各軌道への微細分岐比も得て、過去のデータならびに理論計算との合理的な比較を行った。^<140>Ceを標的とした研究において、22.8%の全陽子放出分岐比を得、理論計算との合理的な比較を行ったが、^<172>Ybを標的とした研究とともに全く新しいデータである。これらの研究成果は、平成8年物理学会秋の分科会で発表した。更に平成9年1月開催のRIKEN Symposium on Giant Resonanceで招待講演を行い、また7月開催予定の第3回日中合同原子核物理シンポジウムでも招待講演を行なうことになっている。
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Research Products
(1 results)