1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07640400
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
鈴木 徹 東京都立大学, 理学部, 助教授 (20175409)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相場 浩和 光華女子短期大学, 情報教育センター, 講師 (10221706)
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Keywords | 応答関数 / 非線形模型 / 原子核反応 |
Research Abstract |
原子核物理学における励起スペクトルの統計的ゆらぎの性質は、古くは低エネルギー中性子反応による準位間隔分布の研究、近くはより一般的なエネルギースペクトルと殻模型計算との比較などを通してかなり詳しく調べられてきた。しかし波動関数に現れる揺らぎの構造については、伝統的な強度分布以上の詳しい分析は未だなされていない。本研究では外場に対する応答関数の統計的性質を模型的に調べることにより、この方面の研究を発展させることが目的である。 本年度はまず準備的研究において進めてきた非線形模型を多自由度系に拡張するための定式化を行なった。具体的には、強度を調べる二準位系とバックグラウンド(BG)となる系を結合させ、固有値および強度関数に関する分散式を導いた。この強度関数の振る舞いは、二準位系の直接の結合とBGを通した間接的結合の競合により決定されるが、これらはランダウ減衰および共鳴状態の分散幅の効果に対応するので、実際の原子核の応答関数の揺らぎの分析にも役立つと期待される。この定式化についで計算プログラムを作成してテストを行っている。本年はさらに一自由度模型で用いた応答関数のゆらぎの指標の多自由度系への拡張を検討した。この過程で、新たな指標として相関関数のフーリエ変換の研究を行なった。とくにこの指標と他の指標(モーメントやフラクタル次元)との関連性について調べるとともに、まず一自由度系での詳細な分析を行った。この部分については現在論文をほぼ完成しており、近く投稿する予定である。またこれと関連して、現実の原子核における相関関数(強度関数)の構造と核反応による測定についても検討を進めた。
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[Publications] T.Suzuki: "Quasielastic Nuclear Reactions and Spin Observables" 原子核研究. 41(印刷中). 9 (1996)
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[Publications] T.Suzuki: "Dirac-Brueckner Approach to Nuclear Reactions" Nuclear Reaction Dynamics of Nucleon-Hadron Manybody System(World Scientific Pub)プロシ-ディングズ. (印刷中). 6 (1996)
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[Publications] H.Morita & T.Suzuki: "Nuclear Correlation Effects in the Deep Inelastic Structure Function of 4He" Aust.J.Phys.(発表予定). 9 (1996)