1995 Fiscal Year Annual Research Report
陽子ドリップライン核の磁気モーメントと異常なアイソスピン対称性の破れ
Project/Area Number |
07640407
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
福田 光順 大阪大学, 理学部, 助手 (50218939)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松多 健策 大阪大学, 理学部, 助手 (50181722)
野尻 洋一 大阪大学, 理学部, 助教授 (90028233)
南園 忠則 大阪大学, 理学部, 教授 (20028210)
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Keywords | 核磁気モーメント / アイソスピン対称性 / Knight shift / 高温超伝導 |
Research Abstract |
鏡映核対の磁気モーメントは原子核構造に対する非常に有効なプローブとなっている。我々が最近測定した^9Cの磁気モーメントは鏡映核^9Liの既知の磁気モーメントと併せることにより、アイソスピン3/2の鏡映核対としては初めてスピン期待値という物理量を引き出すことができた。ところが、その値は異常な値を示しており現在のところ常識的な核構造理論では説明しきれず、アイソスピン対称性の大きな破れの可能性やアイソスピン3/2鏡映核対の異常性などが指摘されている。この問題を追求するため我々はさらに最近ベータ線核磁気共鳴法により^<13>Oの磁気モーメントを測定し、その決定に成功した。その結果、^<13>Oの鏡映核^<13>Bの既知の磁気モーメントと併せると^9C-^9Liと同様にアイソスピン3/2の鏡映核対のスピン期待値を引き出せ、これまで詳しく調べられているアイソスピン1/2の鏡映核対の系統性からの予想値に非常に近い値が得られた。この結果から^9C-^9Li対に見られる異常性はアイソスピン3/2鏡映核対の一般的な性質ではなく^9C-^9Li対の特殊事情によるものであることが明らかになった。この特殊事情がどのようなものであるかは依然興味ある問題として残されている。また原子核構造あるいは対称性とは別の問題として、Pt金属中での^<13>OのKinght shiftが異常に大きいことが判明した。このことはPt金属中の電子構造の問題という観点から非常に興味ある実験事実であり、金属物性研究にも手がかりを与えている。本研究により^<13>Oは現在磁気モーメントが知られている酸素同位体中では唯一の短寿命ベータ放射性核(半減期1秒以下)となった。また、最近話題の高温超伝導体中では酸素の果たす役割が重要であると考えられているが、高温超伝導体の超伝導メカニズム究明などに応用できる酸素のベータ線核磁気共鳴プローブを開発できたと言える。
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