1996 Fiscal Year Annual Research Report
陽子ドリップライン核の磁気モーメントと異常なアイソスピン対称性の破れ
Project/Area Number |
07640407
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
福田 光順 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50218939)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松多 健策 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50181722)
野尻 洋一 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90028233)
南園 忠則 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20028210)
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Keywords | 磁気モーメント / スピン期待値 / 陽子過剰核 |
Research Abstract |
我々は^9C,^<13>Oとアイソスピン3/2の原子核の磁気モーメントを決定したのに続き、同じくアイソスピン3/2の^<19>Oの磁気モーメントの決定に成功した。この原子核の場合は^9C,^<13>Oと違って鏡映核である^<19>Naの束縛状態が存在しないため鏡映対としての議論ができない。たとえば、^9C-^9Li対で異常を見せていたスピン期待値を導出することはできない。しかし、^<19>O単独で理論計算と比較することはできる。殻模型計算コードOXBASHによる計算結果は^<19>Oの磁気モーメントを数%の範囲で非常によく再現している。このことは、^<13>Oの磁気モーメントがやはり理論計算でよく説明できることと併せて^9Cあるいは^9C-^9Li対両方の異常性を際だたせることになった。したがって、^9C-^9Li対に見られる磁気モーメントの異常がアイソスピン3/2の原子核の普遍的な性質と言うわけではなく、^9C-^9Li対の特殊事情によるものであることがさらに示唆されたことになる。現在までのところ^9C-^9Li対の異常なスピン期待値をうまく説明できる理論はまだ無く、以下のような3つの可能性が依然として残されている。i)アイソスピン対称性が大きく破れている。ii)偶数核子対がかなり大きくこわれスピン期待値が大きくなっている。iii)核子の有効g因子が大きく変化している。しかし、核子の有効g因子として2重閉殻近傍で実験的に決められた値を用いると、^9C-^9Li対のスピン期待値に関しては理論値にかなり近づくことが判明し、iii)の可能性が注目されるに至った。以上のように本研究によりアイソスピン3/2の原子核磁気モーメントの系統的研究が始まり、今まで安定線近傍の原子核には見られなかった性質を明らかにすることによって、さらに興味ある理論的実験的研究の場を開拓したと言える。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] K.Matsuta et al.: "Hyperfine interaction of ^<13>O and ^<23>Mg implanted in Pt" Hyperfine Interactions. 97/98. 501-508 (1996)
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[Publications] K.Matsuta et al.: "Magnetic moments of proton drip-line nuclei ^<13>O and ^9C" Hyperfine Interactions. 97/98. 519-528 (1996)